【ゴルフ】新星・江澤亜弥「鈴木愛に追いつき、追い越したい」 (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

「正直、挫けそうにもなりましたね。練習をすればするほど、今まで以上に思うようにいかない。父にも怒られるし(笑)。『他の子は遊んでるのに!』って、遊びたい気持ちもあって。妹に『もうやめたいよ』ってグチったりもしました。でも、そんなときは、練習しながら『私は夢に近づいているんだ』って、自分に言い聞かせてきました。他の子より、有名な人になってやるんだって(笑)」

 父・利光さんは、娘の負けず嫌いな性格を理解し、よくこうハッパをかけたという。

「俺がプロを目指してくれってお願いしたわけじゃない。いつやめてもいいんだぞ」

 すると、娘は必ずこう答えた。

「ヤダ、絶対プロになる!」

 高校は、名門・埼玉栄高に進んだ。2011年には、現在プロツアーに参戦している渡邉彩香(21歳)、辻梨恵(21歳)、保坂真由(19歳)ら先輩、後輩とともに奮闘し、全国高等学校ゴルフ選手権の夏季大会で団体優勝を遂げている。その後、江澤はJGA(日本ゴルフ協会)女子ナショナルチーム育成選手にも選ばれ、将来を期待されるようになっていく。

 ただ、その実績と反比例するように、本人は「本気になればなるほど、夢が遠くなるようだった」と感じていた。

「中学生時代は、このままいけばプロになれるんじゃないかなって思っていたんですけど、高校に入ってからは、正直『厳しそうだな』って思うようになって......。うまい人はいくらでもいる。現実を知ったというか......実際、プロテストを何回受けても受からない人もいるし、受かったとしても上まで行けない人もたくさんいる。甘くないんだなって......」

 それでも、彼女の背中を押したのは何だったのか?

「やっぱり、女子ツアーの華やかな舞台で私も戦いたくて。あの舞台で戦いたいって思いが、諦めなかった、いちばん大きな理由ですね。『諦めたくない。やるだけやってみよう』が、今日までつながった感じです」

 彼女には、ふたつの好きな言葉があるという。ひとつは"初心忘るべからず"だ。

「高校時代、そして霞ヶ関CC(埼玉県)での研修生時代は、本当にがむしゃらにがんばってきました。あの日々の気持ちを忘れちゃいけないな、と思って。プロになるのが目標じゃなくて、プロになってから活躍するのが目標ですから」

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