検索

三笘薫の次節マンチェスター・シティ戦は今季の試金石に 縦への突破に何度トライするか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【相手にとって守りやすい選手になっている】

 左ウイングの三笘にとって最大の見せ場はウイングプレーだ。アタッカーという視点に立つと、ウイングプレーに得点機をどう絡ませるかになるが、チャンスが多いのはウイングプレーだ。サイドで相手のSBと対峙する瞬間である。

 エバートンの右SBはジェイク・オブライエン(アイルランド代表)。197センチ、92キロの巨漢である。悪く言えばドタドタしている。細かなステップワークと高い巧緻性を売りにする三笘にとっては、相性がよさそうな相手に見えた。

 最初に両者が1対1で対峙したのは前半10分。だが三笘は勝負を避けるようにあっさりと後方にボールを戻す。2度目はその1分後。後ろ足にあたる右足でボールを前方に押し出しながら前進すると、オブライエンの身体半分、前に出た。逆を突くことには成功したが、思ったほど逆が取れなかった。相手を縦にずらすことができなかったと判断したのか、三笘はサッと身体を翻し、縦突破を断念した。

 かつてなら確かにあと50センチほど、マーカーをずらすことができていた印象だ。その独特のステップを研究されている可能性がある。とすれば、そのうえでどう出るか。

 三笘はアタッカーにしては慎重派だ。失敗したくない、ボールを奪われたくないという気持ちが、アタッカーにしては強い。その意味では中盤的な気質の持ち主だ。日本人的な気質と言ってもいいのかもしれない。

 この試合も結局、縦突破は1度も成功しなかった。トライしたのも1度だけだ。開幕戦のフラム戦ではトライゼロ、成功ゼロだったので、2戦を終えた段階ではトライ1、成功ゼロとなる。今季三笘は、縦突破を1度も決めることができずにいる。

 縦方向へトライする意思がないことが相手に伝われば、内へ切れ込む動きも決まりにくくなる。得点に絡む機会も減る。まずは縦突破。ウイングはこれが決まらなければ、選択肢は広がらない。三笘はいま、相手にとって守りやすい選手になっている。

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る