プレミアリーグの注目クラブと日本人選手たちの新シーズン 人気解説&実況コンビが見どころを紹介 (4ページ目)
【鎌田大地、田中碧の輝きに期待】
林 日本人選手で追っていくと、クリスタル・パレス。鎌田大地の今季はどうでしょう?
下田 ここはチーム全体の概要が出揃ってからじゃないと、鎌田がどうなるかというのは読みにくいなと思っていて。
三笘だったら三笘から考えるというか、彼の突破がある前提でそれを評価して監督も使うと。でも、鎌田っていうのはチーム全体をつないでいくような存在だから、昨シーズンも序盤は使いどころが決まらず全然出番がなかった。それで、途中からイスマイラ・サールを入れて、彼が定まってから鎌田の使い方も定まって、最後あれだけ活躍したと。
今季もまたジャン=フィリップ・マテタやエベレチ・エゼに移籍の噂が出ていたりするし。
林 エゼは出したくないですよね。
下田 だから、昨シーズンのベースが継続であれば、大体鎌田の使い方もクリアになっていて、監督も彼をよく知ってる人だから、十分に計算はできそうだなと。
林 基本的にはダブルボランチの一角だと思うんですよ。鎌田自身もボランチのほうがより輝けるっていう話はしていたんで。ボランチで昨シーズンうまくプレーしていましたし、そこにしっかり収まるんじゃないかなと。
下田 なるほど。じゃあ、十分やってくれるかな。
林 そうですね。昨シーズンはFAカップで優勝もして、あのしっかり守る戦い方ができるじゃないですか。
下田 オリバー・グラスナー監督はリアリストですからね。
林 あの5-2-3の守備と5-4-1の使い分け。負けないチームづくりはうまいと思います。
で、あとはプレミアリーグに上がってきたリーズです。
下田 リーズは昇格させたのに解任論が出たダニエル・ファルケって、ある意味さすがだなと。結局、必ず昇格させるんですよね。ノリッジも2回上げてるし。で、ロマンチストだと思うんですよ。
林 握ろうとするタイプですからね。
下田 それで、やられ方が派手。だから、攻め勝って昇格してきたけど、プレミアのなかでそれはどこまでいくのか。過去2回失敗をしてるわけですから、それを受けてファルケがどういうスタンスを取るのかはちょっと興味がありますね。
林 これは難しいところですよね。昨シーズンも2部ではもうリーズはちょっと別格で、ポゼッションもすごくうまくて強かったと。でも、それで上がってきた時に、プレミアでそのままやっちゃうと、そのまま落ちていくじゃないですか。だからうまく調整しないといけないですね。猛者だらけのなかで、ポゼッションできなくなったら次のプランがないと。
下田 僕はファルケのリーズがロマンチストすぎて苦労しても、田中碧は輝くんじゃないかなと思っていて。ボールを保持することがベースになっている時に、彼は目立ちやすくないですか?
林 そうですね。それはあると思います。
下田 そうなると、これは目立って個人出世とかもあるんじゃないかって、過度な期待を。
林 まあでも、プレミアで日本人選手を見られるのは、僕らからしたら本当にうれしいですし、そのなかでどのぐらいのクオリティを出せるのか。それが結局日本代表につながるわけじゃないですか。そういう意味でも、もう本当にワクワクしますよね。
著者プロフィール
林 陵平 (はやし・りょうへい)
1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。
下田恒幸 (しもだ・つねゆき)
1967年生まれ。東京都町田市出身。小学生時代に在住していたブラジルで出会ったラジオのサッカー中継がきっかけで実況アナウンサーを志す。1990年仙台放送入社、2005年からフリー。主にサッカー中継(Jリーグ、欧州主要リーグ)を担当している。W杯南アフリカ大会の日本×カメルーン戦、本田圭佑と長友佑都が対決したミラノダービーを現地中継。CL決勝を3度、EL決勝を5度担当するなど経験豊富。サッカー以外の競技の実況にも対応する。
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