【欧州サッカー】プレミアリーグ昇格&日本代表入りへ 今季、欧州で活躍が期待されるふたりのアタッカーをピックアップ (3ページ目)
3度目のプレミアリーグ挑戦にサポーターの支持は絶大
坂元達裕(コベントリー)
山中忍●文 text by Yamanaka Shinobu
「毎試合、自分のサッカー人生を懸けて試合をするというふうに意識しています。ここから3試合、自分にとって一生(記憶に)残るような試合になると思うので、とにかく勝ちに貢献したい」―― コベントリーの坂元達裕は言った。
移籍2年目だったチームが、残るひとつのプレミアリーグ昇格枠を争うプレーオフ(3~6位)進出を決めた、昨季のチャンピオシップ(イングランド2部)最終節後のこと。穏やかな口調ながらも、表情を引き締めて語ってくれた。
しかし、結果的には2試合で終わってしまう。コベントリーは、ホーム&アウェー制の準決勝でサンダーランドに惜敗(合計2-3)。坂元の心中には、「無念」という言葉では生ぬるい、悔しさがあったに違いない。
コベントリーでの1年目は、腰椎の横突起骨折という大ケガに見舞われ、大事な終盤戦に長期離脱を余儀なくされた。チームは、「昇格争いに大打撃」と報じられたとおりの順位(9位)に終わっていた。
続く昨季は、開幕節で約半年ぶりの公式戦復帰を遂げたが、次第に3バック採用が増えた前体制下で、適所とは言い難いトップ下的な位置に回る機会が増え始めた。そこに訪れた転機が、昨年11月のフランク・ランパード監督の就任。4-2-3-1のシステムを好む新監督に、坂元は「サイドがやりたい」と口頭でもアピールしている。そのうえで定着した右ウイングのレギュラーとして、昇格争いを戦っていたのだ。
再び失意を乗り越えて臨む今季は、自身3度目のプレミア行き挑戦となる。「3度目の正直」に当たることわざは英語の世界にもあるが、「今度こそ」との期待を右サイドの武器に寄せているのは、日本人ライターだけではない。「サカモトがウイングでボールを持てば得点の予感がする」と歌われる、地元サポーターによるチャントを聞けば明らかだ。
その「予感」が的中した好例のひとつが、前述の昨季最終節。坂元は鋭い切り返しから、コースもスピードも完璧な左足クロスで先制点をアシストしている。合わせたチームメイトはジャック・ルドニ。ランパード体制下でのトップ下起用が奏功しているMFは、昨季のチーム年間最優秀選手に選ばれている。坂元との呼吸のよさは、ピンポイントのクロスと、ドンピシャのヘディングから見て取れた。
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