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ブンデスリーガで今季大活躍だった日本人選手たち 来季は上位クラブへステップアップ確実か (2ページ目)

  • 林遼平●取材・文 text by Hayashi Ryohei

【降格チームで二桁得点】

町野修斗(キール/25歳)

 ブンデスリーガ初挑戦。期待と希望に満ちた新シーズンは、山あり谷ありの1年だった。

 開幕5試合で4得点を奪った時には、誰もが今季の活躍を疑いはしなかった。ただ、そこからは苦しむ期間が続いた。在籍するキール自体が、なかなか勝ち星に恵まれなかったことも影響していたと言っていい。攻撃的なサッカーを志向していたなかで、失点の多さによって守備に舵を振ったりとチームが迷走する時期もあり、町野の出番は少しずつ減っていった。

 シーズン中盤には「調子は悪くないけど、何故かスタメンから外れることが多い。どうしたらいいかわからない」とこぼすほど、苦悩を抱えた。年明け以降は4月まで1点しか奪えず、結果を残せなかった。

 それでも自身の価値を証明するため、トレーニングから取り組み続けた。すると、前半戦以上にボールへの絡み方や守備時の切り替えなどが大きく変化。加えて、ゴール前での仕事が増えたことで別格の決定力を示していくと、再びスタメンの座を確保した。

 気づけば、後半戦のキールは町野を中心に回っていた。前線で起点となりつつ、プレスのスタート地点としても奔走。攻守に走り回りながら、飛び込んできたチャンスをしっかりとゴールへと結実させた。その結果、シーズンのスタート時に目標として掲げていた二桁得点である11ゴールを記録。「二桁得点はめちゃくちゃ意識していたので本当に嬉しい。3カ月ぐらい取れてなかった時は本当に不安もあった。ただもう一度、イチから練習をして取るしかないなとやってきた。この二桁のために日々頑張ってきました」。チームは降格の憂き目にあってしまったが、苦しむチームのなかで確かな数字を残すに至ったのである。

『ビルト』は「ブンデスリーガでのこの1年間で、名前を知られる存在となった。降格チームで二桁得点を挙げるのは、並大抵のことではない」と町野を高く評価。現在、アウクスブルクやブレーメン、マインツ、ボルシアMGらが獲得に興味を示していると報じられており、今季の活躍を考えれば今夏の移籍は濃厚と言っていいだろう。

 来年、日本代表の一員としてワールドカップに出場するためには、ステップアップを果たした上でどこまでの結果を残せるかが鍵となることは明らか。ブンデスリーガで飛躍を遂げたストライカーからまだまだ目が離せそうにない。

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