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【プレミアリーグ】冨安健洋がアーセナルを離れても「都落ち」ではない ワールドカップを見据えて環境を変えるのもアリ (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【バルセロナの新戦力候補?】

 セリエAでも、ブンデスリーガ、ラ・リーガでも、もちろんプレミアリーグも含め、負傷を繰り返す冨安にオファーが届く確率は高くない。今シーズンは6分しか出場できなかったため、彼の名前が夏の市場を賑わせるはずはないだろう。

 しかし、積み重ねは十分だ。グアルディオラ監督が「トミヤスのサイドは崩しがたい」と絶賛し、バイエルンのヴァンサン・コンパニ監督も「1対1の間合いがパーフェクト。世界でもトップクラスだ」と高く評価。それらの事実が冨安の実力を証明している。

「負傷を繰り返すことによって移籍金を抑えられる。ポテンシャルは申し分ないのだから、オファーを検討すべきだ」

 スペインの移籍情報専門サイト『Fichajes.net』は、バルセロナの新戦力候補として冨安の名を挙げていた。

 繰り返すが、冨安の第一目標はアーセナルでの定位置奪還だ。クラブも手放すつもりは毛頭ないだろう。「ケガをしていても、トミは貴重な戦力のひとり」と、アルテタ監督も残留を示唆している。ノースロンドンの名門で優勝カップを掲げる冨安の勇姿を筆者も見たい。

 だが、まだまだ続くサッカーキャリアと、来年に迫った北中米ワールドカップでの日本代表活動を踏まえると、環境を変えるという決断に至るケースも考えられる。試合数とプレー強度が冨安の肉体を蝕(むしば)んでいるのなら、アーセナルからの移籍は賢明な選択であり、一部メディが指摘するような「都落ち」では決してない。

 冨安がDFとして超一流であることは、サリバの証言、グアルディオラ監督やコンパニ監督のコメントでも明らかだ。コンディションさえ整えば、賢く、強く、そしてフェアな守りで、クラブや日本代表の勝利に貢献するに違いない。

 常に真正面からフットボールに向き合ってきた冨安に、大きなチャンスは再び、必ず訪れる。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

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