プレミアリーグで奮闘の三笘薫、鎌田大地に優勝のチャンス FAカップ準々決勝の見どころ (3ページ目)
【決勝での日本代表対決成るか】
かたや、クリスタル・パレスのFAカップのここまでの3試合の相手は下部リーグのチームだった。鎌田がベンチで試合を終えた3月1日のミルウォール戦では、序盤に相手GKリアム・ロバーツがパレスのFWジャン=フィリップ・マテタの頭部にスパイクの裏で蹴り込むというショッキングなプレーが発生。当然、レッドカードが提示され、数的有利を得たパレスが3-1で順当に勝利を収めている。
チーム得点王のマテタの状態と同様に、鎌田が先発起用される可能性も不透明だ。20日のバーレーン戦でW杯出場を決める得点を記録した後、彼はこんなことを言っていた。
「今季は自分が思うようなシーズンを送れていなくて、気持ち的にも難しい日々を過ごしているんですけど、こういう風に点を取れたりするんだなと。本当にわからないなと思いました。ただヨーロッパリーグで優勝した時もそうでしたけど、どれだけ難しくてもやり続けることが大事。やり続けているからこその結果だと思います」
日本時間3月29日(土)の21時15分に開始予定の準々決勝では、フラムの本拠地クレイブン・コテージに乗り込む。鎌田は11月9日のホームでのフラム戦の76分に、ケニー・テテを激しく削り、退場処分になった。この試合を境に先発の機会が減っており、鎌田にとっては因縁の相手と言える。先発にしろ、途中出場にしろ、出番が来れば、「難しくても(自分のプレーを)やり続ける」はずだ。
ちなみにFAカップでは、これまでに9人の日本人選手がネットを揺らしている。代表戦でゴールの感覚を取り戻した鎌田が、ここで10人目になったとしてもおかしくはない。
願わくはどちらも勝ち進み、抽選で準決勝での対戦を避けた上でさらに勝ち上がってほしい。"フットボールの故郷"と呼ばれるウェンブリースタジアムでの決勝で、日本代表対決が見られれば、この上ない。
著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
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