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プレミアリーグで奮闘の三笘薫、鎌田大地に優勝のチャンス FAカップ準々決勝の見どころ (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi

【すでにビッグクラブをふたつ倒しているブライトン】

 もっとも、ブライトンはすでに今季のFAカップで、ふたつのビッグクラブを下している。2月8日にホームで行なわれたチェルシー戦では、GKバルト・フェルブルッヘンのキャッチミスで先制を許した後、前半のうちにジョルジニオ・ルターが同点とする。そして後半には、後方からのルターの浮き球のパスをボックス内の三笘が右肩で巧みにトラップし、右足アウトサイドのループシュートで相手GKの鼻先を掠めるように逆転ゴールを決め、2-1の勝利を収めた。

 現在27歳の日本代表ウイングはこのゴールを含め、今年に入って全公式戦で5得点を記録しており、調子を上げている。またこのチェルシー戦は、三笘がサウジアラビアのアル・ナスルから届いた推定105億円超のオファーを断った後の初戦だったため、試合後の記者会見ではファビアン・ヒュルツェラー監督が次のように話した。

「(クリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネらが所属するクラブからのオファーを三笘が断って)本当に嬉しい。でも彼自身も、ブライトンでプレーすることに喜びを覚えていると思う。なぜなら、彼はこのチームから得られるものや、ここで成長できることを知っているからね。彼は一度も、クラブにそのオファーに応じるようにと言わなかった」

 3月2日にはニューカッスル――2021年10月にサウジアラビアの国家ファンドが買収し、世界一の資金力を持つスーパークラブのひとつに――とのアウェー戦に臨み、キーラン・トリッピアー、ティノ・リブラメントというイングランドの新旧代表サイドバックの前に沈黙を強いられた。それでもチームは1-1の後の延長戦に、ダニー・ウェルベックが逆転ゴールを奪って2-1と勝利し、2シーズンぶりに8強に進出している。

 日本時間3月30日(日)の2時15分にキックオフが予定されている準々決勝では、本拠地アメックス・スタジアムにノッティンガム・フォレストを迎える。かつて伝説的な名将ブライアン・クラフのもと、UEFAチャンピオンズカップ(チャンピオンズリーグの前身)を連覇した古豪は、一昨季にプレミアリーグに復帰し、2シーズン連続で残留争いに巻き込まれたが、昨季途中に就任したヌーノ・エスピリト・サント監督の指導により、今季はプレミアリーグで台風の目となり、現在3位。ブライトンは2月1日に敵地で行なわれたリーグ戦で、彼らに0-7と屈辱的な大敗を喫している。

 33歳の巨漢FWクリス・ウッド――日本の次に北中米W杯への切符を掴んだニュージーランド代表のキャプテン――にハットトリックを決められるなど、この時はなす術なく敗れたが、ブライトンはその大敗を引きずることなく、以降の全公式戦試7合は6勝1分。ヒュルツェラー監督は「あの試合を冷静に分析し、修正を施した。このチームには大きなポテンシャルがあり、それが徐々に継続性につながっている。私たちはプロセスを信じている」と前向きに話している。ブライトンの誰もが雪辱を誓っているに違いない。

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