三笘薫がまたもスーパープレーで3戦連続ゴール 未踏の領域、ストライカーへ変身か (3ページ目)
左CBアダム・ウェブスター(元U-19イングランド代表)からグラウンダーの縦パスが1トップのジョアン・ペドロに収まる2、3秒前、三笘は鋭い読みで自軍の深い位置から駆け出していた。ジョアン・ペドロがポストプレーを決めたのはその直後。トップスピードに乗った三笘の鼻先に、差し出すようなパスを出した。
ハーフウェイラインをわずかに超えた地点からゴールまでの距離はおよそ50メートルだ。その長い道のりを単独で駆け抜け、約6秒後にGKと1対1になるや余裕でゴールを決めた。
最後の直線を鮮やかに差し切る競走馬のような、胸の透く爽快なアクションだった。ランニングフォームは意外にも大股で、グイグイと加速する。だが身体のバランスは乱れない。背後から相手のCBジェームズ・ブリーに首根っこを捕まれるも、フォームが安定しているので、ボールタッチに乱れはない。正確無比なボールコントロールは最後まで維持された。シュートがまたクールだった。ふわりとボールを浮かす余裕を残していた。
50メートルほどをトップスピードでドリブルしたうえで、あそこまで沈着冷静なシュートを打てる選手も珍しい。前節もすごかったが、今節もすごかった。前節のチェルシー戦のゴールは、日本人の欧州組がこれまで挙げた一番のゴールだった。とすれば、サウサンプトン戦で挙げたこのゴールは二番目に当たる。
ウインガー三笘はストライカー三笘に変身するのか。見たことのない世界へ向かっていることは間違いない。どこへ行く三笘、とは正直な感想である。
試合はブライトンが4-0で勝利。順位はひとつ上がり、チャンピオンズリーグ園内まで4ポイント差の9位となった。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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