検索

久保建英に続くのは誰だ? 日本人選手にとって鬼門、スペイン挑戦の候補者を探る (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【図太さが要求されるストライカー】

 第1回はストライカーだ。

 率直に言って、ストライカーの挑戦は難しい。ラ・リーガではタフさが求められる。それはゴール数の要求であり、正念場でのゴールであり、実際に90分、1シーズンを戦う体力、メンタルでもある。

 マーキングのタフさは、プレミアのほうが激しい。ただ、スペインでは駆け引きで頭を使う。多くのディフェンダーが非常にずる賢く、嫌らしく、執拗で、たとえば腕を使う術にも長ける。久保が受けている徹底したマーキングを見てもわかるだろうが、ピッチでは手段を問わない。そしてストライカーが受けるプレッシャーはサイドアタッカー以上だ。

 ラ・リーガで活躍できるストライカーは、超人性が求められる。過去のクリスティアーノ・ロナウド、ディエゴ・コスタ、ルイス・スアレス、ダビド・ビジャ、カリム・ベンゼマ、あるいは現在のロベルト・レバンドフスキ(バルセロナ)のように、心身ともに図太さが要求される。何度も駆け引きし、マークを外す能力に長け、ボールをゴールに飛ばすスキルとパワーが必須だ。

 日本人でも、大久保嘉人は匹敵するセンス、パワー、気性を持っていた。だからこそ、マジョルカでは1年目デビュー戦でいきなりゴールし、終盤5試合で神がかった活躍を見せた。しかし、その戦闘力を90分、あるいは1シーズン、コントロールする力が足りなかった。

 コミュニケーションの問題も見逃せない。

 スペイン人選手は、スペイン語ができない外国人選手を軽んじる傾向があるし、今も潜在意識で日本人サッカー選手を下に見ているようなところがある。

 郷に入っては郷に従え、だ。

 たとえばドイツでは、日本人の勤勉さや規律正しさが尊敬の対象になる。生き方の姿勢でコミュニケーション不足を補えるからこそ、ドイツ語をマスターしなくても、多くの成功者が出ている。しかしスペインでは、ずる賢さや奔放さ、明るさが美徳で、寡黙を気取ると孤立する。日本人は語学力が低く、関係性を作ろうとすると、それだけで疲弊するのだ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る