久保建英との対決が運命の一戦に? バルサ監督退任撤回のシャビに降りかかる試練 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「勝てる指揮官」ではない?】

 だが、3年目は当初から困難に直面した。デンベレがPSGに移籍、ブスケツも退団。チーム構造をリセットせざるを得なかった。結果、攻守にノッキングが生じた。敵の脅威になっていたデンベレが去って、得点創出機会が減り、ブスケツがいないことでゲームのテンポが作れず、失点が増えた。前者については16歳、ラミン・ヤマルの台頭で解消されたが......。

「ブスケツ不在」

 今シーズンの苦戦理由はそこに尽きる。ブスケツの後継者候補の名前は挙がるが、ほとんどが力不足なのだ(実質的にはマンチェスター・シティのロドリくらいだろう)。

 そこで、シャビは苦肉の策を講じていた。クリステンセンのアンカー起用は、一定の効果があった。ブスケツほどひとりで攻守の軸になることはできなかったが、少なくとも守備のフィルターになっていた。おかげでイルカイ・ギュンドアン、フレンキー・デ・ヨング、ペドリとのコンビプレーが向上。今後もこうしたアプローチでバランスをとるか、下部組織ラ・マシア組のパウ・プリムなどの飛躍を信じるしかない。

 ラ・マシア出身でバルサのレジェンドであるシャビが、ヤマル、パウ・クバルシ、フェルミン・ロペスといったラ・マシア組を引き上げた功績は、特記に値する。それぞれ16歳、17歳、20歳で、クラブの未来を担う。さらに18歳のFWマルク・ギウ、17歳のDFエクトル・フォルトも可能性を感じさせ、来季に向けては15歳のMFギジェ・フェルナンデスの夏のツアー帯同が決まったという。

 シャビ監督にとっては、戦力に入れていたガビ、アレハンドロ・バルデのふたりが相次いでシーズンを棒に振るケガに見舞われたのも計算外だったはずで、それを考えれば及第点を与えられるシーズンにも思えるが......。

 一方、新たに獲得した選手が思ったようにフィットせず、「勝てる指揮官」として限界を感じている人も少なくない。

 ブラジルから3000万ユーロ(約50億円)で獲得したFWビトール・ロッキ(移籍を今年1月に早めた)はほとんど戦力なっておらず、ジョアン・フェリックスは「ウィンカー」と揶揄される、明滅する活躍加減にとどまる。オリオル・ロメウは事実上の戦力外で、ジョアン・カンセロはむしろ守備面の弱点になっている。いずれも、レンタルも含めた放出リストに入っているという。

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