アーセナル敗北、バルサも勝ちきれず...混沌とするCLベスト16 「2番手争い」を抜け出すチームはどこか? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【バルサの欠点は左ウイングがいないこと】

 だが、バルサはこのレバンドフスキーのゴールを守れなかった。後半30分、アンドレ・ザンボ・アンギサ(カメルーン代表)のパスを受けたビクター・オシムヘン(ナイジェリア代表)にゴールを割られ、追いつかれてしまった。

 バルサが苦戦する原因はいろいろあるが、ひとつ確実に言えることは、バランスの悪さだ。布陣は4-3-3だが、左ウイングがいない。該当選手はペドリになるが、彼の本来のキャラは中盤系のパッサーだ。左ウイングというポジション、エリアをカバーできていないので、相手ボールに転じた瞬間、穴になる。

 左サイドバックが有能なジョアン・カンセロ(ポルトガル代表)なので、それに伴うマイナス要素をバルサは最小限に抑えているが、ガブリエル・マルティネッリ(ブラジル代表・アーセナル)、ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル代表・レアル・マドリード)、クヴィチャ・クワラツヘリア(ジョージア代表・ナポリ)、ガレーノ(ポルト)、ジャック・グリーリッシュ(イングランド代表・マンチェスター・シティ)、ジェレミー・ドク(ベルギー代表・同)、ブラッドリー・バルコラ(U-21フランス代表・PSG)、キングスレイ・コマン(フランス代表・バイエルン)など、ベスト16に、左ウイングがいるチームが目立つなかで、バルサの左からの攻撃は貧弱に映る。ペドリと交代でそのポジションについたジョアン・フェリックス(ポルトガル代表)も、真ん中に適性がある選手だ。

 左肩が落ちたサッカー。パッと見、そんな印象だ。これでは躍動感が生まれない。弾ける感じが弱いのだ。三笘薫ではなく南野拓実が左ウイングで出場したアジアカップのイラク戦の戦いを思わず想起した。

 決勝トーナメント1回戦8試合のなかで、実力的に最も接近していた一戦はインテル対アトレティコだった。結果は先述のように1-0。試合内容は53対47ぐらいの関係だった。

 お互い、両ウイングは存在しない。5バックになりやすい守備的サッカー同士の対戦である。16チームの中でこの2チームはそうした意味で例外だ。まさに異端同士の対戦だった。

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