古橋亨梧の来季ポジションは安泰ではない 得点王に求められる新たな役割 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【ロジャース新監督の意向は?】

 古橋の主戦場であるセンタフォーワードとしてスタメン出場した前田が、古巣相手にハットトリックを達成したのに対し、古橋は無得点に終わった。時間は限られ、主力が退いたあとでの出場という状況の違いはあったとはいえ、常に結果が求められる立場であることを理解する古橋は、悔しさを隠さなかった。

「流れを作れた部分もありましたけど、悪い流れになり、失点も重ねてしまってよくなかった。そのなかで何かしないといけなかったんですけど、何もできなかった。負けてしまったのは悔しいですし、僕もチャンスは何個かあったので決めきりたかった」

 得点王であり、MVPでもある古橋だが、新シーズンの立場は決して安泰ではない。なぜなら理解者であるアンジェ・ポステコグルー監督がイングランドへと去り、新監督の下でスタートを切るからだ。

 2度目のセルティック監督に就任したブレンダン・ロジャーズは、かつてはリバプールで指揮を執り、昨季はレスターを率いた実績十分の指揮官である。監督が代われば、立場や役割が変わるのは、プロの世界では当然のこと。古橋にも小さくない危機感が備わっているに違いない。

 実際に古橋の役割は、昨季とは違っているように見えた。最前線で相手DFと駆け引きするのではなく、ポジショニングはやや低め。トップ下、あるいは2トップの一角としてボールに絡んでいった。

 指揮官とすれば多くのことを試したいプレシーズンの試合であり、1点を追いかける状況だったこともあるのだろう。強さと高さを備えた韓国人ストライカーのオ・ヒョンギュが最前線に位置取り、その後方から飛び出していく役割を担っていた。

 もっとも、この新たな役割に、古橋は手応えを得られなかったようだ。

「お互いの位置を見て、バランスを取りながらやっていました。自分も(ボールを)引き出すようにとは言われていましたけど、なかなかいい形で前にボールが来なかったなかで、うまく引き出せなかった。

 もう少しいいポジションを取りながら、ボールをつなぎながら、中継役というのもこなしながら、前に仕掛けられたらと思いましたけど......」

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