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久保建英がゴールを決めればソシエダは勝つ 途中出場で空気を変え、今季7得点目でCLを引き寄せる (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【「タケよ、どんどんボールを触れ!」】

 87分、久保はトッププレーヤーとしての強さを顕示した。味方が自陣でロングボールを跳ね返し、つなげたボールに反応し、カウンターで敵陣に入ってボールを受ける。相手に激しく体をぶつけられながらも、前に入って抜け出した。五分五分に近いボールを、競り合いの中で自分のものにする強度は、今シーズンの特徴と言えるだろう。左足シュートはGKに止められてしまったが。

 終了間際、アディショナルタイムに入る直前だった。マルティン・スビメンディの縦パスを受けたセルロートが収め、ミケル・メリーノに落とす。メリーノがひとつフェイントを入れ、右の久保へ流した。

 久保は再びマヌ・サンチェスと対峙する形になったが、何度かのトライで間合いを測ることができていたのだろう。膝下の速い振りだけで左足でボールを叩き、敵DFの股を抜きながらニアサイドを撃ち抜いた。GKはボールに触ったが、防ぎきれない鋭さだった。

「タケ(久保)は、チームがストレスから抜け出すために必要な"ロックンロール"をもたらした。ニアサイドへ、今シーズン7得点目を打ち込んでいる。彼がゴールをするたびに、チームは勝利する。タケよ、どんどんボールを触れ!」(『エル・ムンド・デポルティーボ紙』)
 
 久保がゴールを決めた7試合は全勝している。それは良い兆しだ。

 最近のラ・レアルは活力がやや弱くなっていたが、再び気運が漂っている。

 一時期スランプだったFWセルロートがトップフォームを取り戻しつつある一方、代役だったカルロス・フェルナンデスもゴール感覚の鋭さを見せ、高いレベルの競争が起きつつある。左サイドバックのアイエン・ムニョス、センターバックのイゴール・スベルディアもベティス戦に続いてハイレベルだった。オヤルサバル、モハメド・アリ・チョという故障明け組も徐々に試合勘が戻りつつある。

 不振やケガ明けだった選手が調子を取り戻し、代わりにピッチに立っていた選手が最高のパフォーマンスを見せる。ラ・レアルは再び好循環に入ったと言えるだろう。久保はその旗手となっている。

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