久保建英の今季のプレーをスペイン人記者が評価「ただ1人賞賛され続けてきた」一方で「重要度が低いことが明らかになった」 (2ページ目)

  • イケル・カスターニョ・カベージョ●文 text by Iker Castaño Cabello
  • 高橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki

【爆発的な突破力と大胆さ】

 シーズンの3分の2を終えた今、久保はチームですばらしいパフォーマンスを発揮している選手のトップ5に入っている。ここまで公式戦32試合に出場し、出場時間はリーガ、国王杯、ヨーロッパリーグ(EL)の3大会合計で2000分の大台を突破。一方、招集外は4試合(2試合は肩の故障、1試合は筋肉疲労、1試合は日本代表への早期合流)、招集メンバー入りしたなかで出番がなかったのは3試合だった。

 昨年末まで負傷欠場していたミケル・オヤルサバル、今季絶望に近いケガを負ったウマル・サディク不在に加え、モハメド=アリ・チョーが何カ月も欠場し、カルロス・フェルナンデスがベストな状態に戻っていないことで、久保はシーズンを通じて主にアレクサンデル・セルロートと2トップを形成し、そのクオリティの高さで観客を魅了してきた。

 ダイヤモンド型の中盤はマジカルで、堅固な守備も兼ね備えた4-4-2が、久保にとって今季ここまでで一番輝きを放っているシステムと言えるだろう。イマノル・アルグアシル監督がオヤルサバルの負傷と新加入選手によりシステム変更を余儀なくされたなか、久保はセンターフォワード(CF)の傍でプレーするポジションに誰よりもフィットしている。さらにここのところ調子を崩すセルロートを尻目に、ほぼ安定したパフォーマンスを発揮しているのだ。

 また新たな環境やチームに即座に順応したことも、評価すべき点のひとつに挙げられるだろう。久保は加入直後から、イマノル指揮下ではトレーニングに真摯な姿勢で臨めば大きなものを得られるというのを完璧に理解し、スタメン入りを目標に全力を尽くしてきた。その努力が実り、多くの場合CFの選手とコンビを組む大役を任されてきた。

 時にはトップ下や右ウイングでプレーすることもあったが、どのポジションで起用されようとも戸惑いはなく、相手を振りきる爆発的な突破力やボールを持った時の大胆さは、チームにとって非常に重要なものとなった。

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