ロナウドのポルトガルは優勝候補なのか。ガーナ戦の乱戦は「中盤サッカー」に原因 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そのポルトガルらしいゴールを、ガーナベンチの選手たちは見逃していた。喜びすぎてピッチから目を離している間に勝ち越しゴールを奪われるという間の悪さを、テレビカメラが抜いていたのだ。記者席のモニターはこのおめでたい姿をしっかり映し出していた。

 ポルトガルは後半35分に3点目となる駄目押しゴールを奪うと、後半43分、活躍した3選手(ロナウド、ジョアン・フェリックス、ベルナルド・シウバ)をベンチに下げる余裕を見せた。

 ところが、ポルトガルの楽勝ムードはその直後、消滅する。明らかな油断からガーナに2-3と1点差に詰め寄られるゴールを奪われてしまったのだ。ドタバタは、特にVARがなかったにもかかわらず、9分間にも及ぶアディショナルタイムまで続いた。その間には、ポルトガルGKが、背後にいたガーナ選手に気づかず、放置したボールを狙われるというボーンヘッドも犯していた。

 ポルトガルの順当勝ちと言えばそれまでだが、試合は最後までドタバタ感漂う乱戦だった。その原因は、ポルトガルが演じた「中盤サッカー」にありとは、筆者の見立てである。この点を改善しない限り「7番手」の域から脱することは難しいと見る。

【著者プロフィール】杉山茂樹(すぎやま・しげき) スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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