ロナウドのポルトガルは優勝候補なのか。ガーナ戦の乱戦は「中盤サッカー」に原因 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ガーナは大はしゃぎでポルトガルに追加点

 0-0の均衡が破られたのは後半20分。ポルトガルは。左SBのゲレイロが出した縦パスを、ジョアン・フェリックスが状況判断よくスルーする。ペナルティエリアを転々とするボールに、競い合うように走り込んだのは、ガーナDFでサウサンプトン所属の23歳、モハメド・サリスと、ポルトガルの背番号7、ロナウドだった。

 競り合いに勝利したのは37歳のロナウドで、少し遅れて入ったサリスはたまらず、その左足をロナウドの足元まで深く出してしまった。ロナウドは待ってましたとばかり転倒。すると、アメリカ人のエルファト・イスマイル主審は、迷うことなくPKスポットを指さした。微妙な判定かに見えたが、深く審議されることなくPKは行なわれ、ガーナGKローレンス・アティジギが伸ばした左手の上を、ボールは勢いよく通過した。ロナウドの老獪さと衰えぬスピード感にガーナは翻弄された。

 だが試合は、これを機に撃ち合いになっていく。前に出ざるを得なくなったガーナに、ポルトガルが後手を踏むというシーンが目立ち始める。アヤックスで活躍するモハメド・クドゥス、地元カタールのアル・サッド所属のアンドレ・アユ―、ビルバオ所属のイニャキ・ウイリアムス、アーセナル所属のトーマス・パーティーなど、実力者が本来の力を出し始めた。

 後半28分に、強シュートを放ったばかりのクドゥスが、その1分後、左サイドを深々と割り、折り返すと、ゴール前に詰めたアユーがこれをプッシュ。同点弾とした。

 同点劇の立役者となったアユーとクドゥスはこの直後、ベンチに下がった。記者席のモニターカメラにはそこで控え選手から祝福を受ける姿が映し出されていた。ガーナベンチはその時、大はしゃぎしていた。

 ポルトガルに勝ち越しゴールが生まれたのは、2人がベンチに下がったその1分後だった。ブルーノ・フェルナンデスが、ディフェンスラインの背後にスルーパスを送ると、外から回り込んだジョアン・フェリックスがステップ軽やかに抜けだし、勝ち越し弾を鮮やかに流し込んだ。

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