メッシの現在の真の実力は? ゴールが減ってもPSGで別格の扱いを受ける理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 やはり、長年過ごしたバルサのプレーに慣れていたのだろう。パスの出し入れからオートマチズムがあるだけに、ほとんど無意識にボールを蹴ることができた。それがPSGに移籍し、チームに適応せざるを得ないなかで、微妙なズレはメンタルにも影響する。試合で決定機を逃すことで、そのズレが増幅したのかもしれない。もちろん、年齢的な影響もないはずがない。

 それでも、今もメッシはメッシだ。

 G大阪戦で、メッシはチーム4点目を決めた。左に流れたネイマールに展開した後、ドリブルをするネイマールと呼吸を合わせながら、天性のタイミングでエリア内に入り、バックラインの前でのクロスを左足で合わせた。その感覚は、天才的だった。

 メッシは今も持っているものを用い、まだしばらくはすばらしいプレーを続けるだろう。

 PSGではトップ下というよりも、フリーマンとして攻撃を司る。メッシがボールを触るだけで、攻撃にギアが入る。彼を中心に、周囲には4人の選手が配置され、その力を引き出す魔法円のようだ。同時に、守備は周りの選手が分担する形ということか。

 そこにメッシへの価値基準はある。それだけの犠牲を払っても、PSGは神気を求めるのか――。試合後、ネイマールと歓談するメッシの表情は、まだまだ若々しかった。

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