中村俊輔がリヴァプールとレアルを分析。CL決勝は「GKのセーブが勝敗を分ける気がする」 (3ページ目)

  • PROMOTION 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 指揮している監督も、個の能力を重視するアンチェロッティ。彼は、かつてミランを率いた時代に、1トップにアンドリー・シェフチェンコ、2シャドーにカカーとルイ・コスタ、中盤の底にアンドレア・ピルロを配置する4-3-2-1というクリスマスツリー型の布陣を採用して選手の特徴を引き出すことに成功し、ひとつの時代を築き上げました。

 今季のレアル・マドリードも各選手の能力が最大限に引き出されている点は同じで、カリム・ベンゼマとヴィニシウス・ジュニオールのような選手間のホットラインもしっかりできている。しかも、カゼミーロ、ルカ・モドリッチ、トニ・クロースで構成する中盤3人は、もう何年も一緒にプレーしているので阿吽の呼吸があり、それもチーム戦術のなかで活かされています。

 そういった選手のキャラクターを大事にしている両監督が、決勝戦に勝ち上がったのは素晴らしいこと。もちろんグアルディオラの革命的なサッカーも面白いし、アンチェロッティやクロップが戦術家ではないと言っているわけではありませんが、個人的には、選手の特徴がよく出ているチーム同士の決勝戦になったことを、うれしく思いますね。

注目は最終ラインからの縦パス

 そんな決勝戦で注目しているのは、最終ラインからのロングパスがどれだけ試合のなかで決定的な役割を担うのか、ということですね。日本では、相手が前から来たときにロングボールを蹴るのはダメだと言われることがありますが、でも、あのレベルになるとその認識が違っています。

 相手が前から来た場合、最終ラインの選手は狙ってロングボールを蹴る。しかもそのボールは、ベンゼマの頭なのか、胸なのか、それともヴィニシウスの裏なのか、そういったところを狙って蹴っています。前線の選手もそのボールを受けるつもりで動き出していて、とくに2列目の選手がセカンドボールを拾いに行っているわけでもありません。

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