中村俊輔がリヴァプールとレアルを分析。CL決勝は「GKのセーブが勝敗を分ける気がする」 (2ページ目)

  • PROMOTION 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もちろん個で相手を剥がすこともできますが、リヴァプールにはそういった選手同士のハイクオリティなホットラインがいくつもあって、そのなかで各選手たちの能力が最大限に引き出されている印象があります。

 そういう意味では、ここ数年はペップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)の5レーン戦術がトレンドになっていますが、もしかしたら現在はその次のフェーズに移っているのかもしれない。見ていて、そんな印象を受けるようにもなりました。

 そのうえで、僕なりに今回の決勝戦を展望してみたいと思います。
鋭い視点で戦術を深堀する中村俊輔鋭い視点で戦術を深堀する中村俊輔

ハイレベルなパイプがある

 まず、リヴァプールというチームの印象としては、ビッグクラブでありながら、移籍によって出ていく選手が少ないことがあげられます。その理由が、居心地のよさなのか、ユルゲン・クロップという監督の魅力なのかはわかりませんが、それがチームとしての強さを維持するための重要な要素になっていると思います。

 そのなかでチームにしっかりした軸があり、そこにディオゴ・ジョタ、ルイス・ディアスなどリヴァプールに合いそうな新戦力が加わって、チームとして着実にアップデートできている。チアゴ・アルカンタラは最初こそフィットできませんでしたが、現在は自分のよさを発揮できていますし、気づけば誰が出場しても遜色ないレベルのチームになっていると思います。

 しかも先ほど話したように、各選手が単独で活躍するのではなく、ピッチ上にいくつものハイレベルなパイプがあって、たとえばルイス・ディアスにしても必ず周りの誰かと絡みながら自分の能力を発揮する。それをチーム戦術のなかで実現させてしまうクロップのマネジメント力や雰囲気づくりも含めて、年々進化している印象があります。

 一方のレアル・マドリードも、個々の能力が最大限に引き出されているという点で、リヴァプールに似ているチームだという印象ですね。

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