三笘薫が久保建英、長友佑都を超えるような活躍。フロンターレ時代より数段たくましくなった (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Panoramic/AFLO

【来季はチャンピオンズリーグ出場の可能性】

 マッズ監督とて、その点は理解しているはずだ。チームが好調なだけに、あえていじろうとしていないのだと見る。だが彼が三笘を重要な戦力と見なしていることは、起用法を見れば一目瞭然になる。このセルクル・ブルージュ戦は、2-0で勝利した前戦、第19節ズルテ・ワレゲム戦から中2日の強行軍で行なわれた。さらに、その前の2試合、三笘が90分フルタイム出場していたこともあって、ズルテ・ワレゲム戦では、2-0でリードすると、マッズ監督は三笘をベンチに下げた。休養を意味する交代だった。

 ウイングバックあるいはSBとして、ウイングまさりのドリブルを披露する三笘。川崎時代より数段たくましくなった印象だ。際立つ走力、スピードの持ち主であることも、鮮明になっている。

 ハーフウェーラインの手前あたりでまず1人、スピードの変化で縦に抜き、さらにもう1人、抜きに掛かる。川崎時代、抜くべき相手は1人だったが、サン・ジロワーズでは時に2人になる。より多くの障害物に行く手を阻まれているにもかかわらず、ライン際をドリブルで長躯、敢然とスピード豊かに突き進む。

 高い位置でプレーしたくてうずうずしている様子が手に取るように伝わってくる。だが、相手ボールに転じても、手を抜くことはない。反応鋭く、的確なポジションを取る。戻り遅れることもなければ、攻撃参加に遅れることもない。元気すぎるウイングバック、SBなのだ。

 日本代表歴わずか1回。計45分しかプレー経験がない選手であることがうそのような活躍ぶりである。東京五輪でプレーしたU-24日本代表のFWのなかで出場時間が最も短かった選手であるという事実も信じ難い。日本の監督の選手を見る目を疑いたくなるプレーを三笘は見せている。

 こう言っては何だが、日本代表の左ウイングでプレーすることが多い久保建英より上のレベルにあると見る。同様に日本代表の左SB長友佑都より、数段レベルの高い左SBにも見える。三笘を左SBで使う手もアリだと提言したくなる。

 サン・ジロワーズにとって三笘は、ブライトンからのレンタル選手だ。ブライトンでも十分通用するレベルにあると確信するが、冒頭でも述べたように、サン・ジロワーズには来季、CLに出場するチャンスがある。そこで活躍すれば、ブライトンよりもっと上のクラブから声が掛かる可能性がある。来年の三笘はどうなるのか。楽しみ以外ない選手。筆者には、50人を超える欧州組のなかで、ナンバーワンの選手に見えるのだ。 

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