メッシでもロナウドでもない。CLで主役級の活躍を見せている注目の3人

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 チャンピオンズリーグ(CL)はグループリーグ第3節が終了。人数制限のない有観客で開催されている試合が多いからだろうか、派手な撃ち合いが目立つ。1試合の平均得点は2.94。第3節に限れば3.69で、1チーム当たりに換算すれば1.8強となる。

 現在行なわれているJリーグの2021シーズンに照らせば、この数字を上回るチームは川崎フロンターレと横浜F・マリノス(ともに2.2点)のみ。3位はヴィッセル神戸の1.6点なので、平均1.8強がどれほどすごい数字かおわかりいただけると思う。オフェンス力がディフェンス力を大きく上回っている印象だ。

 得点力ナンバーワンは12ゴール(1試合平均4点)のバイエルンだ。第3節のベンフィカ戦も、アウェー戦にもかかわらず0-4と大勝。E組(バイエルン、ベンフィカ、バルセロナ、ディナモ・キエフ)で3戦全勝、勝ち点9で首位に立っている。

 バイエルンは一昨季の覇者。昨季は準々決勝でパリ・サンジェルマンにアウェーゴールルールで敗れているが、今季も優勝候補の一角であることに変わりない。最大の魅力は安定感だ。目下失点0。何と言ってもバランスがいい。

 選手で目を引くのは、昨季マンチェスター・シティから移籍したレロイ・サネだ。2年目の今季はチームにいっそう馴染んでいる様子。ベンフィカ戦でも2ゴールを奪う活躍を演じている。ドリブル&フェイントがきれる左利きの技巧派だが、ウイングではなく、ロベルト・レバンドフスキの1トップ下でプレーする機会が増えている。

ベンフィカ戦で2得点をあげたバイエルンのレロイ・サネ(右)ベンフィカ戦で2得点をあげたバイエルンのレロイ・サネ(右) 左利きながら、左右どちらに進むか、わかりにくいボールの持ち方をすることが、真ん中でも活躍できる一番の理由だ。適性エリアが広い選手と言ってもいい。試合中、サイドに流れてプレーすることもしばしばある。

 流動的と言われる動きになるが、日本人選手との違いは、その際にポジションを埋める感覚があるかないかだ。勝手に動きがちな日本人選手とは違い、お互いにそれぞれの持ち場をカバーする意識があるので、相手ボールに転じた瞬間でも、穴ができにくい。そのあたりが厳格に守られている点もバイエルンの強みと言える。

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