久保建英への評価が、レアルに大敗&今季無得点でも下がらない理由

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 世界に冠たるレアル・マドリードは、久保建英(20歳)を擁するマジョルカを完膚なきまでに叩き潰した。

 6-1。レアル・マドリードは大勝したが、スコア以上の差を見せつけている。マルコ・アセンシオ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴなど、久保と同じようなポジションの選手たちが躍動。マジョルカのディフェンスラインが主力を欠いていたこともあったが、なぶるようにパンチを浴びせ続け、サンドバック状態にした。

 久保がレアル・マドリードでプレーする夢はまた遠のいたのか?

レアル・マドリード戦に先発したが負傷のため前半で退いた久保建英(マジョルカ)レアル・マドリード戦に先発したが負傷のため前半で退いた久保建英(マジョルカ)この記事に関連する写真を見る 結論から言うと、久保の評価は落ちてはいない。序盤から右サイドで攻撃の起点となった。4分、左サイドからのFKでロングボールを受けると、ワンタッチで対峙した相手左サイドバックのミゲル・グティエレスを置き去りにした。左足でのシュートは枠を外したが、そこまでの形は才能の証明だった。

 53%。

 レアル・マドリード戦を前に、今シーズンの久保が叩き出してきた1対1の勝率である。ヴィニシウスすら50%を切る数字で、リーガ・エスパニョーラ屈指と言えるだろう。付け加えれば、ドリブル成功率も56%と際立った数字だ。

 その後も、久保はロングスローのこぼれ球を左足ボレーで狙い、ボールを運んでためを作って味方を押し上げ、戦局を優位に動かした。ディフェンスでは敵サイドバックの攻め上がりにフタ。ボールが集まってきたし、それを的確に動かし、プレーに渦を作った。

 前半24分、マジョルカは早くも2点目を奪われたが、久保は反撃の狼煙を上げている。キックオフから右でボールを運び、タイミングよく縦にボールを入れる。その落としを韓国代表イ・ガンインが持ち込んで左足シュートを決めた。

 久保はプレーに重厚感が加わっていた。仕掛ける怖さだけでなく、プレーを作るところでもボールを預けられる選手になって、攻守が安定。チームにとって、計算できる選手になった。

「失敗に終わったレンタル移籍も経験し、プレーヤーとして成熟した」(マジョルカのルイス・ガルシア監督)

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