ユーロ2020随一。中盤トリオがイタリアの「ファンタジー」を復活させた (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 マンチーニ監督は中盤から前線の才能を最大限に生かすべく、4−3−3システムを採用する。ただし、左サイドバックを務めるレオナルド・スピナッツォーラ(ローマ)、もしくはエメルソン(チェルシー)がいずれも所属クラブで左ウイングバックを担当していることもあり、攻撃時はかなり高いポジションをとる傾向がある。

 そのため、陣形は左右非対称の3−4−3に可変する。その柔軟性も、新生アッズーリの見どころのひとつだ。

 もっとも、その大胆とも言える陣形が成立するのも、最終ラインにユベントスの重鎮ジョルジョ・キッエリーニとレオナルド・ボヌッチのふたりと、右サイドバックのアレッサンドロ・フロレンツィ(パリ・サンジェルマン)が存在するからにほかならない。経験豊富な彼らと、若き守護神ジャンルイジ・ドンナルンマ(ミラン)は、イタリア伝統の守備力を維持するための絶対的な戦力となっている。

 マンチーニ体制になってから、戦績も目覚ましく改善された。最後に敗れた2018年9月のポルトガル戦(ネーションズリーグ/0−1)以来、目下27戦無敗中で、現在8試合連続クリーンシートを継続している。

 今回のユーロ2020予選でも、対戦相手に恵まれたとはいえ、10戦全勝37得点4失点というほぼパーフェクトな成績だ。FIFAランキングも7位まで上昇。チーム全体が自信に満ちあふれたいい状態で本番を迎える。

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 イタリアは6月11日(現地時間)、今大会の開幕戦となるトルコ戦に挑む。

 確かに現在のトルコには、リーグ・アン優勝チームのリールのトリオ(FWブラク・ユルマズ、MFユスフ・ヤズズ、右SBゼキ・チェリク)や、ミランのハカン・チャルハノールといったタレントを揃えた難敵ではある。人数制限はあるにせよ、地元ローマのオリンピコで地元サポーターの声援をバックに戦えることは、何物にも代えがたいアドバンテージになるはず。

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