2021.06.09

ユーロ新勢力図。フランス、イングランド…1年延期の恩恵を受けるのは?

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

 ユーロ2016決勝。ポルトガルはその前半早々、大ピンチに見舞われた。主砲のクリスティアーノ・ロナウドに故障が発生。ロナウドは様子を見ながらしばらくはプレーを続けたものの、続行不能となり、前半25分、涙を流しながらピッチを後にした。

 ロナウドのワンマンチームと見られていたポルトガル。その優勝の可能性は潰えたかに見えた。開催国で優勝候補の本命に推されていたフランスは、絶対的に優位な状況に立った。

 ところがフランスは、スタッド・ドゥ・フランスを埋めた地元観衆の熱気が、逆にプレッシャーとして災いしたか、プレーが硬く、ポルトガルに引導を渡せない。試合は延長戦へ。そしてその後半4分、ポルトガルに決勝点が生まれた??―。

 ポルトガルが初優勝を飾った前回大会から、はや5年が経過した。

優勝候補の筆頭フランスで代表に復帰したカリム・ベンゼマ優勝候補の筆頭フランスで代表に復帰したカリム・ベンゼマ この記事に関連する写真を見る  五輪夏季大会と同じ年に行なわれるユーロだが、2020年大会は東京五輪同様、新型コロナウイルスの影響で、今年2021年に順延された。

 開幕戦は6月12日(現地時間)。トルコ対イタリア(ローマ・オリンピコ)で、1カ月という長丁場の口火を切る。

 大会が開催にこぎつけることができた大きな理由は、会場が欧州各都市に分散されていることにある。ユーロは本来、国単位(共催を含む)で開催される大会だが、2020年大会に限り、あらかじめ欧州12都市で分催されることになっていた。ひとつの都市にかかる負担が少ないことが、たとえば、東京五輪との大きな違いになる。

 もっとも、ユーロにも少なからず紆余曲折があった。ダブリン、ビルバオが開催を断念。ダブリンの試合はサンクトペテルブルクのスケジュールに組み込まれ、またビルバオのぶんは、セビージャが代替開催に名乗りを挙げることで解決を図り、最終的には11都市で開催されることになった。
 
 欧州のクラブサッカー=都市対抗戦とはまた異なる魅力に包まれた国別対抗戦が、大々的に開催されるのは、2018年ロシアW杯以来3年ぶりだ。日本在住のサッカーファンが"ひさびさ感"を覚えるのは、その間にUEFAが主催するユーロ・ネーションズリーグが行なわれたものの、日本ではテレビで放送されなかったことと大きな関係があるだろう。