大迫勇也が埋められなかった「溝」。ドイツメディアが厳しい原因とは

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 松尾/アフロスポーツ●写真 photo byMatsuo/ AFLOSPORTS

 2020-21シーズンは大迫勇也(ブレーメン)にとって非常に厳しいものになってしまった。

 リーグ戦の出場は24試合だが、そのうちスタメンは7試合にすぎず、途中出場17試合。ベンチが8試合で、出場時間の合計はわずかに752分という少なさだ。これがどれくらい少ないかというと、2019-20シーズンはその倍以上の1857分プレー。2018-19シーズンはケガに悩まされた時期があり、さらにアジアカップ出場による離脱がありながらも1350分プレーしていたのだ。

 それよりも深刻なのは、リーグ戦で無得点に終わってしまったことだろう。これは大迫が2009年に鹿島アントラーズでプロデビューして以来、初めてのことである。ちなみにドイツ杯では、準々決勝レーゲンスブルク戦で、チームを1-0の勝利に導く重要なゴールを決めているのだが、結局、シーズンを通してこの1点のみという何とも寂しい結果に終わった。

ドイツから帰国、日本代表の合宿に参加中の大迫勇也(ブレーメン)ドイツから帰国、日本代表の合宿に参加中の大迫勇也(ブレーメン) 一方、チームはリーグ戦終盤で7連敗を喫するなど大失速。最終節を監督交代で迎えるという博打に出たが、そんなカンフル剤も効果がなく、ボルシアMGに2-4の完敗。最終順位は17位となり自動で2部に降格してしまった。

 短い出場時間でゴールを求めるのも酷ではあるが、大迫はフォワードの選手として得点で存在価値を示すしかない。試合によっては中盤での起用もあり、必ずしも本人の望むポジションではなかったかもしれないが、それでも結果が必要なことに変わりはない。求められるのは、守備での貢献でも組み立てに加わることでもなく、得点だ。

 とはいえ、フロリアン・コーフェルト前監督からの信頼は決して低くはなかった。ドイツ杯のレーゲンスブルク戦では、「ユウヤはチームにとって重要なゴールを決めてくれる」と、称えるほどの存在だった。

 振り返れば2019-20シーズンは、最終節のケルン戦で先制点を含む2ゴールを決め、チームを6-1の大勝に導いた。この勝利により、ブレーメンは入れ替えプレーオフに進出し、残留することができた。また2018-19シーズンは、敗れはしたものの、ドイツ杯準決勝バイエルン戦でゴールを決めている。数としては物足りなくても、記憶に刻まれるゴールを決めてきたのだ。

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