2021.05.14

スペイン代表の新スターは何がすごいのか。異色の経歴で強度を体現→攻撃の中心に成長

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

サッカースターの技術・戦術解剖
第58回 ダニ・オルモ

<スペインの伝統を継ぐ新世代>

 2008年のユーロ(ヨーロッパ選手権)で優勝、10年南アフリカワールドカップで初優勝、12年のユーロを連覇。スペインが世界を席巻した時期から、およそ10年が経過しようとしている。

6月から始まるユーロでの活躍が期待される、スペインのダニ・オルモ6月から始まるユーロでの活躍が期待される、スペインのダニ・オルモ この記事に関連する写真を見る  シャビ・エルナンデスもアンドレス・イニエスタもすでに代表チームにはいない。栄光を経験したメンバーで残っているのは、セルヒオ・ラモス(レアル・マドリード)とセルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)ぐらいだ。

 しかしスペインは相変わらず強く、かつてほど圧倒的ではないが世界の強豪の一角を占めている。そんな新たな世代を代表する一人が、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)だ。

 チームの基本的なプレースタイルは変わっていない。縦横にパスをつなぎ、素早いコンビネーションや個人技を駆使した、技巧的な攻撃が看板だ。3トップを形成するのはアルバロ・モラタ(ユベントス)、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、そして23歳のオルモである。

 左サイドが主戦場だが、右も中央もできる。左ウイングだが、ハーフスペース(サイドと中央の間)でのプレーも得意な、現代的なウイングプレーヤーだ。

 現在のウイングはタッチライン際での古典的なウイングプレーだけでなく、1つ中へ入って中間ポジションでのプレーも求められている。ウイングとインサイドハーフの両方の資質が要求されているわけだが、オルモはそれにぴったりの選手と言える。

 ファーストタッチがピタリと収まる。止まっていても、動いていても、足のすぐ近くにボールを置ける。さらに俊敏で、相手の動きをよく見て逆を取るのがうまい。ボールタッチ技術の高さと自信があるので、ボールから自由な選手と言える。

 ボールをコントロールし、プレスに来る相手をいなしながら周囲の状況を把握できるので、複数の相手の間でのプレーにそつがない。