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キミッヒはドイツサッカーの新リーダー。自ら契約交渉、将来は名監督 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 キミッヒは成長を止めない選手だ。常に自分で考え、ステップアップしてきた。その点では完全に努力型である。努力の天才なのかもしれない。

<リバウンド・メンタリティの持ち主>

 人口3500人ほどのバーデン=ヴュルテンベルク州のロットヴァイルという街で生まれ育った。地元のビュージンゲンでプレーを始め、12歳の時に卓越したプレーが認められてシュツットガルトの育成チームに移っている。

 当時からサッカーに取り組む姿勢は別格で、上達するためにコーチに疑問をぶつけ、議論することも多かったそうだ。ポジションは現在と同じセントラルMFだった。

 順風満帆だったわけではない。1995年生まれのU-16ドイツ代表を編成するにあたって、キミッヒは選外になっている。「背が低すぎ、線が細すぎる」という理由だった。後年のスーパースターにはわりとよくある話でもある。ただ、キミッヒにとっては挫折ではなかったようだ。フィジカルトレーニングに励むとともに、自分の特徴をどう生かしていくかを考えていたという。

 キミッヒには正確な技術があり、戦術理解力は並外れていた。そして何よりもメンタルが強かった。

 天性のリーダーで恐れを知らず、年上でもスター選手でもまったく臆せず自分の主張をぶつけていくパーソナリティーは、10代から今まで変わっていない。猛烈な上昇志向とともに自分を客観視できた。

 いわゆる「リバウンド・メンタリティ」はプロ選手として大成するカギだと言われている。逆境を克服する精神力を持った選手が大成する。天才選手でもおよそ挫折は経験するもので、リオネル・メッシ(アルゼンチン)は身体の成長が止まる病気を持っていたし、ロメル・ルカク(ベルギー)は貧困と差別をエネルギーに転換した。ディエゴ・マラドーナ(アルゼンチン)のような別格の天才でも、少年時代には「自分よりうまい選手はいた」という。才能は必要だけれども、それだけで選手として大成したわけではないのだ。

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