2021.03.14

『鬼滅の刃』の産屋敷耀哉は、サッカークラブの理想のオーナー像である

中山 最近のヨーロッパサッカー界を見渡した時、ビッグクラブのオーナーはビジネス的な立場でクラブを率いる外資系オーナー、あるいはファンドも含めた外国人投資家たちが担っているケースがほとんどです。オーナーがコロコロ変わってしまうケースも増えていて、ビジネス的な成否によって簡単に株式が売買されるような世界になってしまった。その意味では、現在のサッカー界にはモチベーターとしての産屋敷耀哉に相当するような人物はなかなか見当たらないのが実情ですね。

 ただ、長い歴史を持つ一族がビッグクラブを長期に渡って率いている点では、ユベントスのアニェッリ一族が最も近い存在ではないでしょうか。アニェッリ・ファミリーがユベントスのオーナーになったのは1923年ですし、会長職こそ一族以外の人物が務めたこともありますが、約100年が経った現在に至るまでオーナーとしてクラブを支えつづけてきました。

 実際、現在のユベントス会長は一族出身のアンドレア・アニェッリですしね。しかも、2006年には"カルチョポリ"という大スキャンダルが起きてクラブ存続の危機に立たされながら、それを乗り越えて現在はセリエAで9連覇中です。

倉敷 願いを果たしたいと親から子へと想いを受け継いでいくのも、イタリアサッカー界のロマンと似ていますね。代々錬金術に優れているところもカルチョと似ていますかね?

中山 何と言ってもアニェッリ・ファミリーは、戦前の時代に初代が自動車のフィアットを創業して以来、多方面に事業を拡張してきた一大財閥ですからね。戦後も含めて長くアニェッリ一族がイタリアの財界を仕切ってきました。時には政府よりも力を持つファミリーとされていて、そこには映画『ゴッドファーザー』のような世界があるとイタリア人から聞いたこともあります。政府非公認の組織である鬼殺隊を率いながら、公的機関に対して干渉したケースがある点も、政府にも影響力を持っているであろう産屋敷家に少し似ている気がします。