W杯の名選手はTVでもレジェンドに。無人島生活、ダンス、整形、恋愛...

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

あのスーパースターはいま(4)
 
 日本に比べて、海外ではアスリートと芸能人のすみ分けはかなりはっきりしている。現役選手がバラエティ番組に出ることは少ない(そんなことをしている暇があったら、自分のやるべきことをやれと非難される)。しかし引退後は、テレビ番組に呼ばれる選手は少なくない。知名度と体力のある彼らは、特にリアリティショーには引っ張りだこなのだ。

W杯5大会に出場、最多試合出場記録も持つドイツのレジェンド、ローター・マテウスW杯5大会に出場、最多試合出場記録も持つドイツのレジェンド、ローター・マテウス 1990年イタリアW杯。ゴールへの鋭い嗅覚で大会得点王に輝いたイタリアのサルバトーレ・スキラッチ。ジュビロ磐田でもプレーしたことのある彼は引退後、テレビの解説などをする傍ら、故郷のパレルモに戻り地元の少年たちのためにサッカーコートを作り、そこでサッカースクールを開いている。

 シチリア島出身というだけで、どことなくダーティーなイメージを持たれていたスキラッチだが、リアリティショー『L'isola dei famosi(有名人たちの島)』という番組に出演して、一躍株を上げた。これは昔、日本でも放映していた『サバイバー』の有名人バージョンだ。無人島に男女数人が連れていかれ、少ない物資や厳しい自然条件の中、2カ月、文字どおりサバイバル生活をする。

 仲間との協力が必至だが、そこはイタリア人とあって、とんでもないワガママやありえないようなエゴが次々と飛び出す。その中でスキラッチは驚くほどの協調性と、サバイバル能力を発揮。プライドの高いセレブの中で素朴な人間性を見せ、選手時代以上に人気が上がった。番組では毎週視聴者の投票で不適合者を落としていくが、スキッラッチは最後の3人にまで残った。この番組にはのちにマルコ・マテラッツィも出演したが、彼は早々にリタイアしてしまった。

 イタリアでは多くの選手がリアリティショーに出ている。なかでも有名人がプロのダンサーとダンスを踊って順位を競う『Ballando con le stelle(スターと踊って)』 はサッカー選手出場率が高い。ローマで中田英寿とともにスクデットを勝ち取ったマルコ・デル・ベッキオが2位になったほか、クリスチャン・ビエリ、ミランの大御所で現在政治家のジャンニ・リベラ、先日惜しくも亡くなった82年スペインW杯の得点王パオロ・ロッシも参戦している。

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