2020.12.29

久保建英の元同僚の経歴がすごい。へこたれずに挑み続ける流転のGK人生

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

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 過去20年、世界最高ゴールキーパーの座をイタリア人ジャン・ルイジ・ブッフォン(ユベントス)と争ってきたスペイン人イケル・カシージャスは、GKとして理想的な経歴を歩んだと言えるだろう。

 名門レアル・マドリードの下部組織で育ち、至高の技術を身につけ、10代でトップチームでデビュー。若くして守護神として崇められ、クラブに栄光をもたらし、スペイン代表でも頂点を極めて伝説となる。最後は異国のポルトで尊敬されながら、GK人生を全うした。

 なぜ、カシージャスはその位置に到達できたのか?

「GKとして心がけていることは?」

 筆者は昔、そんな質問を投げかけたことがあった。

「何が起こっても動じず、"落ち着いて見える"というイメージを意識的に出そうとは思ってきた。実際に落ち着いているかどうかは関係ない。GKも人間だからミスはあるわけで、泰然として振る舞う姿を敵にも味方にも見せることが大事。さもなければ、つけ込まれるし、侮られるからね」

 その不動心は、欧州や世界の頂点に立ち続けた守護神ならでは、だったのか。

 もっとも、カシージャスのような筋書きでGKとしてのキャリアを送れる選手はごく少数だろう。

 多くのGKは、たったひとつのポジションをつかむために四苦八苦する。出場機会を求め、そこで己の実力を見せつけ、ようやく正GKのポジションを得るが、ポカひとつで強烈なバッシングに遭い、ポジションを失って一からのスタートになる。峠を乗り越えるようにして力をつけ、ようやくGKとして尊敬されることになるのだ――。

2017-18シーズンからマジョルカでプレーするマノーロ・レイナ「どこであっても、チームのためにゴールマウスを守り続ける。GKはそれだけだよ。失点を0に抑えられたら、単純にうれしい」

 リーガ・エスパニョーラ2部マジョルカのGKであるマノーロ・レイナ(35歳)は、GKのあり方を簡潔に答えていた。

 マノーロは昨シーズン、久保建英(ビジャレアル)が所属したマジョルカで際立ったセービングを見せていた。落ち着き払ったゴールキーピング。それは経験を重ねることで身につけたものだった。