中島翔哉に移籍のススメ。日本代表復帰に向けても重要な局面だ (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 2019年夏、アル・ドゥハイルから5年契約でポルトに移籍した際、ポルトが支払った金額は1200万ユーロ(約15億円)。高額な移籍金がネックとなって完全買い取りは実現せず、当時の現地報道によれば、ポルトは中島の保有権を50%取得する"共同保有"という形で移籍を成立させたからだ。

 また、その際に設定された契約解除金額は8000万ユーロ(約97億円)。実際にその金額どおりに移籍するケースは稀ではあるが、ポルティモネンセに高額なトランスファーフィーを支払ったアル・ドゥハイルとしては、中島の市場価格がさらに上昇すると踏み、次に中島が移籍する際に少しでもリターンを手にしようと目論んだのも当然だ。

 ところが、その思惑どおりに事は運ばなかった。期待されたポルト移籍後の中島のパフォーマンスが芳しくなかったからだ。

 まず初年度の2019−20シーズンは、リーグ戦の出場は16試合でスタメン出場は5試合、フル出場は2019年12月16日に行なわれた第14節のトンデラ戦のみ。ゴールはなく、1アシストを記録するにとどまり、レギュラー奪取まで遠い道のりにあった。

 しかも第5節の古巣ポルティモネンセ戦では、2点リードの状況で途中出場を果たしながら、一時同点に追いつかれる要因となった中島の緩慢な守備にセルジオ・コンセイソン監督が激怒。なかなかチームにフィットできない要因を作る一件もあった。

 そんな苦境に追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックだった。リーグ戦が中断する直前の試合までは途中出場を続けていた中島だったが、リーグ戦再開前のチームトレーニングに個人的な理由で参加せず、そのままメンバー入りすることなくシーズンを終えることになったのである。

中島がチームに合流したのは、2020−21シーズンが開幕してから約1カ月が経過した2020年10月のこと。すでに新シーズンのチーム作りが進行していたため、途中合流の中島がレギュラーを目指すことは困難な状況だった。

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