ダビド・シルバは久保建英と同じ「360度」の選手。瞬間的な認知力が抜群だ (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 このふたりの存在がレアル・ソシエダを「古く」している。相手に囲まれた場所で受けても失わないのだ。であれば、わざわざインテリオールを下げる必要はないわけだ。より前方に人数を割いたほうがいい。

 つまり、技術が高いから形状変化を必要とせず、敵陣に5人を送り込んでいるから効果的な攻撃ができている。とくにシルバ、メリーノ、スビメンディのMF3人のクオリティが高いために、古いやり方だけれども効果的なサッカーが成立しているのだ。

<360度のターン>

 シルバの本領は、まさに狭い場所でプレーできることにある。

 スペイン代表で「クアトロ・フゴーネス」(4人の創造者)を形成した仲間、シャビ・エルナンデスはインテリオールの才能について「360度のターンができること」と言っている。2008年のユーロに優勝したスペインのメンバーには、シルバ、シャビ、イニエスタ、セスク・ファブレガスと「360度ターン」の資質を備えたMFが並んでいた。

 実際にパスを受けて360度ターンすることはない。ボールを足にくっつけたまま1回転しても元に戻るだけなのだが、肝心なのは「180度」と言っていないところだろう。180度以上、ターンしながら状況を見極め、次のタッチで最も的確で効果的なプレーができるか否か。シャビはそれを問うている。

 ボールコントロールだけでなく、瞬間的な認知力がどれだけあるかだ。ボールに足をくっつけたまま目を離し、目に飛び込んできた絵面からどれだけのものを読み取れるか。

 よく「考えてプレーしろ」と指導者は口にするが、考えていては決定的に遅い。見えた瞬間に決めていなければならず、ほとんど反射に近い。彼らが考えるとしたらボールに触れるまでで、プレーの最中はむしろ考えていないか、考えている自覚はないのだ。

 この半自動的にプレーできる能力がシルバにはあり、それが現在のレアル・ソシエダでも生きている。

<久保も同じ道のりを歩むか>

 レアル・ソシエダを追い3位につけているビジャレアルのウナイ・エメリ監督は、久保建英がシルバに似ていると言う。

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