日本人GK黄金時代到来の前兆。19歳が欧州ユース最高峰の舞台に立つ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

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「日本でも、5年後くらいには身長190cmオーバーのGKが多くなっているんじゃないですかね」

 40歳でJ1のピッチに立つ南雄太(横浜FC)は言う。昨シーズンは、横浜FCのJ1昇格の原動力となり、今シーズンも第12節の清水エスパルス戦で勝利の殊勲者になった。20年以上、トップレベルのGKを続けてきた男の証言である。

「単純に、でかいとパワーは出ますよね。(ドイツ代表でバイエルンに所属するマヌエル・)ノイアー(193cm)を見てもわかると思いますけど、体勢が悪くても、ふつうは(ボールがラインを越えて)いっちゃうところで、ボールをかき出せますから。あれは、パワー以外にない。

 今までの日本では、身長180~185cmで、俊敏で動けるGKが多かったんです。でも、GKはどんどん大型化している。シュミット・ダニエル(シント・トロイデン/197cm)なんていい例ですね。自分はひとつ前の時代でよかったなと思いますよ。ユース年代には、ハーフで、伸びていきそうな選手がたくさんいますから。これからは彼らの時代なのかもしれません」

 それは、啓示的な響きを伴う。

 8月25日、U-22日本代表のGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は、UEFAユースリーグ(ユース年代のチャンピオンズリーグ)決勝を戦っている。

UEFAユースリーグ決勝でレアル・マドリードと対戦した小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)UEFAユースリーグ決勝でレアル・マドリードと対戦した小久保玲央ブライアン(ベンフィカ) U-19ベンフィカは、英雄ラウル・ゴンサレス監督が率いるU-19レアル・マドリードを相手に堂々と渡り合った。2点を先行されたが、1点を返し、再び突き放されたものの、その後、また1点を返した。終盤には、準決勝でアヤックスを3-0で打ち負かした攻撃力を見せる。PKを奪い取り、シュートがバーを叩くなど猛攻を続けたが、あと一歩及ばず、2-3で敗れた。

 雌雄を決する一戦で、父がナイジェリア人で母が日本人という小久保は、ポテンシャルの高さを示している。

 身長193cmと大柄だが、機敏に動くことができる。シューターに対して詰め寄るスピードは秀抜だ。クロスに対しては猛禽類のように高く跳んでボールをとらえ、大きくはじき出した。

 最初の2失点に関しては、ノーチャンスだった。ひとつは完全にニアで合わされ、もうひとつはオウンゴール。ただし3失点目は、グラウンダーのクロスに対して飛び出したが、ディフェンスと見合う形でボールがすり抜け、ファーサイドで撃ち抜かれた。

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