2020.08.01

欧州をざわつかせるアタランタ。ローカルヒーローの生きざまを見よ!

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 バロンドールを獲るぐらいの才能は、その頃のPSG規模のクラブでは長くプレーしなかった。それよりも、チームの中心として長くプレーしてくれるスターのほうがクラブにとっては有り難い。当時はライー(ブラジル)やパウレタ(ポルトガル)くらいがちょうどいいスターだった。

 若くて才能に溢れていると、すぐに上位クラブに引き抜かれてしまう。アタランタもずいぶん引き抜きに遭ったが、ゴメスとイリチッチが残っているのは彼らがベテランの域で、次の転売がしにくいという事情もあるに違いない。22歳だったら、ふたりともとっくにアタランタから移籍しているはずだ。

 どのぐらいのスターが、そのクラブにとって「ちょうどいい」のかは、それぞれの事情や状況次第だろう。

 バレンシアのダニエル・パレホ(スペイン)は、ちょうどいい感じがする。レアルやバルサでもプレーできる力がありながら、バレンシアの主将という位置づけがちょうどいい。マルセイユのディミトリ・パイエ(フランス)や、レスターのジェイミー・バーディー(イングランド)もちょうどいい。

 一方、マジョルカの久保建英はよくはない。レアルには早いかもしれないが、マジョルカのエースで収まる器ではない。PSGのキリアン・エムバペ(フランス)も、本人はちょっとムズムズしているかもしれない。もっと相応しい舞台があるだろう。

 所属するチームと本人のバランスがとれていないと、チームにとっても本人にとっても幸福ではない。

 2017-18シーズンからアタランタに加入したイリチッチは、11ゴールで自分の力を証明し、次のシーズンも12ゴール。クラブ史上初のチャンピオンズリーグ(CL)出場に貢献した。そして今季のCLではラウンド16のバレンシア戦2試合合計で5ゴールの大暴れ。CLのホーム&アウェー2試合で5点以上決めたのは、ほかにリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドだけだ。