今季12得点のDF。闘将セルヒオ・ラモスの影響力はピッチ外でもデカい

  • 高橋智行●文 text by Takahashi Tomoyuki
  • photo by AFLO

 現在のサッカー界で頂点に君臨しているのは、リオネル・メッシ(バルセロナ)とクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)で間違いないだろう。しかし、ピッチ内外で最も影響力を持ち、味方にとって最も頼もしく、相手にとっては最も厄介な選手と言えば......。それはセルヒオ・ラモスではないだろうか。

セルヒオ・ラモスが攻守に渡る活躍で、レアル・マドリードを優勝へ導こうとしているセルヒオ・ラモスが攻守に渡る活躍で、レアル・マドリードを優勝へ導こうとしている 現在34歳。引退の二文字が意識されはじめるなかでなおも進化しつづけ、レアル・マドリードおよびスペイン代表のキャプテンとして、サッカー界を代表するDFでありつづけている。

 ピッチ内では "闘将" として激しいプレーで味方を鼓舞し、ピッチ外ではチームへの批判に対し "スポークスマン" としてメディアに反論しつづける。時に度を越すファールを犯すこともあるが、圧倒的に強い対人プレーと、どんな状況においても決して諦めることがない、不屈の精神を持ち合わせている。

 クリスティアーノ・ロナウドとジネディーヌ・ジダン監督が揃って退団した昨シーズン、チームは崩壊し低迷期を迎えた。もがき苦しむ選手たちが世間やメディアから批判を受けたなか、セルヒオ・ラモスはキャプテンとして矢面に立ち、その批判を一身に受け止めつづけた。

 そして今季、レアルは堅固な守備を武器に低迷期を抜け出し、36節終了時点で9連勝して首位をキープ。3シーズンぶり、最多34回目のリーガ優勝まであと一歩に迫っている。そのなかでセルヒオ・ラモスはリーガ最少失点のチームの守備に貢献しているだけでなく、攻撃面でも光る活躍を見せ、チームを牽引している。

 じつは今季は1シーズンの自己最多得点記録を更新(12ゴール)した。これまで見せたことがない鮮やかなFKを決めたりもしている。

 ロナウド退団後はPKのキッカーも務めているが、本人は「最大の緊張の瞬間は、僕が最も快適さを感じる瞬間であり、僕はその責任を負うのに理想的な人間だと思う」と、そのプレッシャーを楽しむ余裕さえ感じさせる。現在は22本連続でPKを成功中だ。

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