2020.06.26

ピャニッチは「引き算の美学」で輝き。
ユベントスが中盤の底で起用するわけ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 近年ではミラン、ユベントスで活躍したアンドレア・ピルロがいる。リヨンでジュニーニョの後継者だったピャニッチは、ユベントスでピルロの後釜に据えられたわけだ。

 ピルロもピャニッチも、もともとは攻撃的MFだった。トップ下、イタリアでトレクアルティスタと呼ばれるポジションだ。ただ、このポジションの選手としては2人とも技巧的すぎたのかもしれない。セカンドストライカーとしての得点力や、スピードが重視されるようになっていくなかで、芸術的なプレーぶりはむしろ余分とさえ見られていたかもしれない。

<引き算の美学>

 ミランでカルロ・アンチェロッティ監督がピルロをレジスタとして起用したのは英断だった。

 すでにこのポジションで好感触を得ていたピルロが直訴したというが、問題は守備力である。そこでハードワーカーのジェンナーロ・ガットゥーゾを"護衛"に起用し、ピルロ&ガットゥーゾのペアはのちの06年ワールドカップでイタリア優勝の原動力にもなった。しかし当初は、やはりピルロのアンカー起用は冒険とみられていた。

 バルセロナで、ヨハン・クライフ監督がジョゼップ・グアルディオラを抜擢した時も、同じ不安があった。クライフの場合は、最初から中盤の底に技巧派のルイス・ミジャを起用していて、攻撃のための最重要ポジションという位置づけである。

 グアルディオラの登場でチームの背骨が固まったが、グアルディオラがいなくても技巧派の誰かが起用されていたはずである。ミランの場合、ピルロのレジスタはボールを支配しきるゲームをやるという決意表明にほかならず、アンチェロッティはその一歩を踏み出したわけだ。