塩谷司を変えた母親と恩師の言葉「あの日から、あきらめなくなった」 (6ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images


「あとあと聞いたら、母親はお金を借りたりとか、大変な思いをさせていたみたいなんですけど、サッカーを続けられるようにしてくれたんですよね。先生もそうだし、母親もそうだし、ふたりの弟も『兄ちゃんがんばれ』って感じで。あとは地元の友人たちも、大学の同級生も、みんながみんな、自分を支えてくれたんです」

 その日から、塩谷は変わった。

「それからは一度もクサらなかったですね。2年近く、真剣に練習に取り組んでいなかったので、すぐに試合に出られるわけではなかったですけど、何とかしてやるって、ずっと思ってました」

 塩谷は言う。

「あの日から、俺はあきらめなくなった気がします。自分がダメな理由を外に置かなくなった」

 3年生の時は、結果的にほとんど試合には出られなかったというが、その年の終わりにCBへと転向させられたことが、プロへの契機となった。

「自分を大学に誘ってくれた人も『お前がサッカーでメシを食っていくなら、絶対にCBだ!』って言ってくれていたんですよね」

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