2020.05.29

動かない鉄壁守備のカラクリ。
ボヌッチには連携で仕留めるうまさがある

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 ボヌッチを中心としたユベントスの守備陣には重厚感があり、あまり動かなかった。慌てて動いて逆をとられることが少なくて、いつもどっしり構えていた。これは3バックのキャラクターそのものだったと思う。

 まず、読みがいい。相手が何をしてくるか予測する能力が高く、しかも3人で共有できていた。ただ、基本的には3人それぞれの守備力の高さが効いている。自分のゾーンでの対応がいいので、ドリブルで抜かれたとしても隣の味方が楽にカバーできていた。

 たとえばカバーリングでサイドに出た時に、ボヌッチは相手の縦への突破へ備えた斜めの体の向きで対応する。ただし、立っている場所はカットインに対応したコース。つまり、カットインを抑えながら、縦へ走られた時にスムーズに追走できる体勢をとる。

 縦だけ、カットインだけ、というふうに的を絞りきるのではなく、どちらに行かれても対応できるようにする。これでどちらにしてもギリギリまで粘れるので、たとえ外されたとしても味方が悠々とカバーできるのだ。

 1人で抑えきる範囲が広い。かといって、全部を1人でやろうともしていない。結果的に2人がかりでボールを奪える。普通は縦かカットインかどちらかに絞ることで相手のプレーを制限するのだが、逆に言うとどちらかは自由にやられてしまう。これでは2人目にかかる負担が大きいのだ。ユベントスの3人は1人目でほぼ抑えきっているので、その分2人目に余裕がある連携になっていた。