イニエスタが「スター性を求める」バロンドールに最も近づいた瞬間 (3ページ目)

  • ムツ・カワモリ●文 text by Mutsu Kawamori
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 いつしか「華奢」という符号も外れ、背番号も8番(代表では6番)に替わる頃、クラブでも代表でも印象的な活躍を見せるようになった。特に2008年から2012年にかけては、クラブだけでなく、スペイン代表のタイトル獲得にも大きく貢献した。優勝した2010年の南アフリカワールドカップでは、オランダとの決勝戦で決勝ゴールを決めている。ただし、この時点では、まだシャビ・エルナンデスのほうがチームでより重要な地位を占めていたと思う。

 バロンドールの投票では、2009年4位、2010年2位、2011年4位。ただし、2012年の3位の時が一番惜しかった。28歳と、年齢的にも最もいいタイミングだった。この年の夏、イニエスタはスペイン代表の主要国際大会3連覇となったユーロ本大会(ウクライナとポーランド共催)において、大会MVPを獲得した。8年前にU-21の試合で初めて撮った時と同様の、すばらしいプレーでチームを引っ張った。

「今年こそトロフィーを掲げるチャンスだろう」と思ったが、2013年1月に発表された投票結果は3位。間が悪い(?)ことに、1位のリオネル・メッシ(バルセロナ)も2位のクリスティアーノ・ロナウド(当時レアル・マドリード)も、ともにそれまでのキャリアハイともいえるゴール数を叩き出し、それぞれがクラブの象徴として崇められていた。

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