南野拓実のリバプールでのポジションは?「不可欠」になるのに必要なこと (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 バルサのインサイドハーフは攻撃的MFに分類したくなる選手たちだが、リバプールのインサイドハーフは4-4-2の真ん中、センターハーフ的なのだ。守備的MFのようでさえある。

 この攻撃的MFとは言い難い、総合力の高さが求められるポジションで、クロップ監督は南野を起用しようと考えているのではないか。4-2-3-1の時のフィルミーノの代わりより、こちらのほうが出場できる可能性は高い。だとすると南野には、ザルツブルグや日本代表ではあまり求められてこなかった任務が待ち構えていることになる。ディフェンス能力。ボールを奪い返す力を、いま以上に身につける必要がある。

 ライバルは先述の2人、ワイナルダムとヘンダーソンだ。しかしリバプールの場合、このポジションは3FWより頻繁に交代を行なうため、その分、控え選手にチャンスが巡ってくる。今季、ほかにインサイドハーフとして国内リーグに出場した選手は以下のとおりだ。

 ジェームズ・ミルナー、アレックス・オクスラーデ・チェンバレン、アダム・ララーナ、ナビー・ケイタ、カーティス・ジョーンズ。

 南野にとって幸いなのは、彼と同じタイプの選手、すなわち攻撃に色気を加えることができる選手が少ないことだ。クロップ監督は南野を加味したい要素だと捉え、獲得に動いたに違いない。

 とはいえ、従来のやり方をクロップ監督が大きく変えるとも思えない。南野が出場機会を増やすためには、やはり現在のリバプールのインサイドハーフに必要な役割をいち早く学び、センターハーフ的な総合力を身につけることだろう。それに南野本来の魅力が加われば、しめたものだ。クラブW杯を制し、世界一に輝いた欧州屈指の名門クラブで、ふたりといない貴重な選手になれるだろう。

 こうなったらぜひ、日本人初となるチャンピオンズリーグ決勝の土を、踏んでほしいものである。

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