吉田麻也が歴史的大敗を語る「相手の能力とテンポに対応できなかった」 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

「もちろん退場者が出た影響もあるんですけど、それを抜きにしても、相手の能力とテンポにまったくこちらが対応しきれてなかった。当たり前のことですけど、ワンツーとかにもまったくついていけてなかった。セカンドボールも全部拾われた。

 狭いスペースでも(レスターは)打開がすごくうまいなと思いました。逆に僕らは単調なミス、やってはいけないミスを繰り返して、前半失点を重ねてしまったことによって、集中が切れてしまったという感じがしました。守る形も崩れたし、攻めの形もない。『どうやって攻めるの?』という(感じがした)。逆に今日の試合まで、こうやってよく巻き返したなと思います」

 たしかに、開始直後から目についたのは、レスターの出来のよさだった。ポゼッションサッカーに磨きをかけているレスターは気持ちよくパスを回し、サウサンプトン陣内へと押し込んだ。そして、前半10分に先制点を奪ったうえで、サウサンプトンのバートランドが退場......。

 この日、サウサンプトンのある英国南西部は暴風雨にさらされていたのだが、雨に濡れたピッチでボールがよく滑り、レスターのパス回しはさらにスピーディーになった。一方、降格圏に沈むサウサンプトンは4点目が入ったあたりで完全に戦意を失ってしまった。

 しかもハーフタイムには、レスターのブレンダン・ロジャース監督が「0−0のつもりで攻めろ。手を抜くな」と、若手の多い自軍の選手たちに激を飛ばしていた。対するハーゼンヒュットル監督は試合後、「わたしのキャリアでこんな経験はしたことがない」と意気消沈した様子で語っていた。

 ベンチワークや指示で試合の流れを変えるのが指揮官の務めだと思うが、効果的な采配は見られなかった。むしろ「こんな経験はしたことがない」とさじを投げてしまうあたりに、ロジャース監督との力量の差が浮き彫りになったような気がする。

 次節は残留圏17位に位置するエバートンとの一戦だ。降格圏18位サウサンプトンとの勝ち点差は現在3ポイント。残留争いを戦っていくうえで、吉田はライバルとの直接対決が重要になると力を込めた。

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