スペイン2部で香川真司と岡崎慎司が元気。柴崎岳はなぜ評価ダウン? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッドを渡り歩いた経歴は伊達ではなく、上々のスタートだ。

 香川に匹敵する活躍を見せるのが岡崎だろう。プレシーズンはマラガで過ごしたが、クラブの経済的な問題で、開幕後ウエスカに移籍してきたばかり。しかし、何の違和感もない。戦術センスに優れ、ボールを呼び込み、攻撃を生み出せる。

 ウエスカは、昨シーズンまで1部に在籍。ミケル・リコのように1部経験の長い選手やレアル・マドリードでデビューを遂げた新鋭FWクリスト・ゴンサレスを擁する。第9節ではカディスとの首位決戦に敗れ、4位に後退したものの、1部昇格の最前線にいる。

 チームの特長はやはり守備の堅牢さで、ここまでサラゴサを上回るリーグ最少の5失点。スペインU-21代表GKのアルバロ・フェルナンデスは鉄壁で、GKのレベルの高さは、サラゴサのアルゼンチン代表候補クリスティアン・アルバレスとも通じる。守備組織だけでなく、GKのスーパーセーブが潮目を作るのだ。

 そして岡崎は前線で異彩を放っている。周囲と連係する力は出色で、フィニッシャーとしての力も証明。第8節のジローナ戦で見せたシュートは圧巻だった。エリア内でヘディングのパスをゴールに背を向けて受けると、反転しながらのボレーシュートを叩き込んだ。

 元プレミアリーグ王者のFWは、ゴール量産体制に入るか。

 一方、MF柴崎はデポルで苦しんでいる。チームは開幕以来、勝ち星なしで22チーム中21位と低迷。リーグ最多の17失点と守備が崩れ、柴崎は戦犯のように扱われつつある。大手スポーツ紙『アス』にはヌマンシア戦、ミランデス戦で最低の0点(0~3の4段階)をつけられる始末だ。

 入団時、柴崎の評価は特大クラスだった。

「ワールドクラスのボランチがやってきた。技術的には、2部リーグでも1、2を争う。魔法のキック!」

 地元の記者たちは絶賛し、"救世主の到来"に夢中だった。ところが、開幕2試合目のウエスカ戦で流れが変わった。

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