2019.08.29

ダニ・アウベスの帰還にブラジル中が
熱狂。主将として「W杯を目指す」

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by Reuters/AFLO

 8月18日、サンパウロFCの本拠地モルンビー・スタジアムは、5万人近い観衆で埋まった。ブラジル全国リーグ第15節のセアラ戦。8月1日の入団発表以来、人々は36歳という年齢が信じられないほど若々しいプレーをするダニエウ・アウベスのデビュー戦を心待ちにしていた。

 先発メンバーの発表でその名前がコールされると、大歓声が沸き起こる。「背番号10」をまとって彼がピッチに姿を現わすと、爆竹が鳴った。試合が始まり、ボールに触るたびに歓声が上がる。そして前半終了間際、ゴール前でパスを受けてマーカーを右へ外すと、GKの逆を突いて右足でシュートをファーサイドへ流し込んだ。その瞬間、誰もがいっせいに飛び上がって喜んだ。

 その後、21日のアトレチコ・パラナエンセ戦、25日のヴァスコ・ダ・ガマ戦(いずれもサンパウロにとってはアウェーゲーム)では、敵チームのファンからも大きな拍手と歓声が起きた。

今季から母国ブラジルのサンパウロでプレーしているダニエウ・アウベス ダニエウ・アウベスはブラジル北東部バイア州の内陸地の貧しい家庭に生まれた。ボールを蹴るのが大好きで、小学生の頃から将来の職業をプロのフットボーラーと心に決めていた。15歳で州都サルバドールの強豪クラブ、バイアの下部組織に加わり、2001年、18歳で右SBとしてデビュー。粗削りながら、縦へのドリブル突破から精度の高いクロスを入れる攻撃力が魅力で、たちまちサポーターの人気を集めた。

 翌年、スペインリーグのセビージャへ移籍し、経験を積んでさらに成長。2008年には名門バルセロナへ移籍し、中心選手のひとりとしてチャンピオンズリーグを2008-09シーズン、2010-11シーズン、2014-15シーズンと、3度制覇する偉業を達成。このポジションの世界トップの選手となった。その後、2016年にユベントスへ移籍して2016-17シーズンはセリエAで優勝。2017年にパリ・サンジェルマンへ移ってリーグアンで2連覇した。

 ブラジル代表(セレソン)には2006年に23歳で初招集され、2010年、2014年とW杯に出場。2018年のロシアW杯にも招集されてチームの中核を担う役割が期待されたが、故障のため欠場した。彼の不在が響き、セレソンは準々決勝でベルギーに不覚を取った。