「イニエスタの後継者」は19歳。
バルサの申し子・背番号8を見逃すな
「MAGO」(魔法使い)
スペインの大手スポーツ紙『マルカ』は、19歳のMFリキ・プッチ(本名リカルド・プッチ・マルティ)をそう表現し、絶賛している。
7月23日、埼玉スタジアム。バルセロナはチェルシーと新シーズンに向けた初のプレシーズンマッチを戦い、1-2と敗れた。リオネル・メッシ、ルイス・スアレスなどコパ・アメリカに参加した選手が不在のなか、主力はコンディションが整わず、若手は実力が足りない、もしくは周囲とかみ合わない。
セルヒオ・ブスケッツは"らしく"ないミスパスでピンチを作り、ウスマン・デンベレはボールとの感覚がずれたまま、オリオル・ブスケッツは慣れない右サイドバックでノッキングを起こし、アレックス・コジャードは存在感を出せなかった。低調な試合で、ただひとり輝きを放ったのがプッチだ。チェルシー戦で先発メンバーに名を連ねたリキ・プッチ(バルセロナ) 背番号8は、かつて英雄アンドレス・イニエスタが背負っていた。そのプレースタイルはとても似ている。1本の何気ないパスでプレー全体が速やかに動く。プッチがボールを触るたび、周りの選手が輝いた。
『マルカ』のウェブサイトはこの試合後にアンケートを行なっていたが、プッチは新エース候補のアントワーヌ・グリーズマンを抑え、チーム内ダントツの1番に評価されていた。
プッチこそバルサのバロメーターと言っても過言ではない。
チェルシー戦でプッチは4-3-3のインサイドハーフとして先発出場。前半の45分間、卓抜したボールプレーでチャンスを作り出した。視野が抜群に広く、高速で正しい決断を下し、そこで際立った技術を使える。序盤、ゴール前の密集地帯に入って、ゴールに背を向けたまま足の裏を使って送ったパスはため息を誘った。デンベレが追いつけず、得点にはならなかったものの、ゴールの予感をさせた。
プッチはどれだけ相手に寄せられてもひるまない。圧倒的な技術。ボールを失わない、パスを出せる、という信頼で周りが走り出す。
「ボールは汗をかかない」
そんなバルサイズムを叩き込まれた選手と言える。
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