2019.07.26

「イニエスタの後継者」は19歳。
バルサの申し子・背番号8を見逃すな

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松尾/アフロスポーツ●写真 photo by Matsuo/AFLO SPORTS

「MAGO」(魔法使い)

 スペインの大手スポーツ紙『マルカ』は、19歳のMFリキ・プッチ(本名リカルド・プッチ・マルティ)をそう表現し、絶賛している。

 7月23日、埼玉スタジアム。バルセロナはチェルシーと新シーズンに向けた初のプレシーズンマッチを戦い、1-2と敗れた。リオネル・メッシ、ルイス・スアレスなどコパ・アメリカに参加した選手が不在のなか、主力はコンディションが整わず、若手は実力が足りない、もしくは周囲とかみ合わない。

 セルヒオ・ブスケッツは”らしく”ないミスパスでピンチを作り、ウスマン・デンベレはボールとの感覚がずれたまま、オリオル・ブスケッツは慣れない右サイドバックでノッキングを起こし、アレックス・コジャードは存在感を出せなかった。低調な試合で、ただひとり輝きを放ったのがプッチだ。

チェルシー戦で先発メンバーに名を連ねたリキ・プッチ(バルセロナ) 背番号8は、かつて英雄アンドレス・イニエスタが背負っていた。そのプレースタイルはとても似ている。1本の何気ないパスでプレー全体が速やかに動く。プッチがボールを触るたび、周りの選手が輝いた。

『マルカ』のウェブサイトはこの試合後にアンケートを行なっていたが、プッチは新エース候補のアントワーヌ・グリーズマンを抑え、チーム内ダントツの1番に評価されていた。

 プッチこそバルサのバロメーターと言っても過言ではない。
 
 チェルシー戦でプッチは4-3-3のインサイドハーフとして先発出場。前半の45分間、卓抜したボールプレーでチャンスを作り出した。視野が抜群に広く、高速で正しい決断を下し、そこで際立った技術を使える。序盤、ゴール前の密集地帯に入って、ゴールに背を向けたまま足の裏を使って送ったパスはため息を誘った。デンベレが追いつけず、得点にはならなかったものの、ゴールの予感をさせた。

 プッチはどれだけ相手に寄せられてもひるまない。圧倒的な技術。ボールを失わない、パスを出せる、という信頼で周りが走り出す。

「ボールは汗をかかない」

 そんなバルサイズムを叩き込まれた選手と言える。