2019.06.22

コパ最下位で高まる不協和音。
アルゼンチンが頼るは「奇跡」のみだ

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 セルヒオ・アグエロもアンヘル・ディ・マリアも、そしてリオネル・メッシも、アルゼンチンを救うことができなかった。

 コパ・アメリカのグループステージ第2戦。パラグアイとの試合が進むにつれて、アルゼンチンの監督リオネル・スカローニの顔は驚きから絶望へと変わっていった。代表監督になってまだ1年にも満たない彼には、この時間をどう止めたらいいか、わからないようだった。実際、アルゼンチンの試合はホラー映画の様相で始まり、ギリシャ悲劇のように終わった。

 数多いアルゼンチンのスター選手の誰も、結果を出すことはできなかった。反対にパラグアイは非常に冷静で、アルゼンチンのどこを攻めれば致命傷を負わせられるか、よくわかっていた。パラグアイはアルゼンチンを混乱させて先制した。

 ここで重要なのは試合の流れではない。注目すべきは、ドラマティックなまでにふがいないアルゼンチンの状況だ。ほとんどの場面で、アルゼンチンは3、4本以上のパスをつなぐことができなかった。DFからボールを奪い、ゴールを目指すべきメッシも何もできない。前半のアルゼンチンのシュートは、わずかにFKからの1本だけだった。

パラグアイ戦でPKを決めたものの、冴えない表情のリオネル・メッシ photo by AFLO アルゼンチンからやって来た2万人のサポーターも、アルゼンチンの破滅を感じ始めていた。しかし、そこで驚くべき出来事が起きた。メッシのシュートをパラグアイのGKフニオール・フェルナンデスがスーパーセーブし、コーナーキックに逃れた後に、突如試合が中断された。VAR判定だ。

 ピッチでは、誰もが試合をリスタートさせる準備ができていた。メッシはすでにコーナーに立ち、パラグアイの選手もみな守備のポジションについていた。なんの説明もないまま、数分が過ぎた。選手たちも、いったい何が起こっているのかわからない。

 そして最後に、ブラジル人の審判はアルゼンチンにPKを与えた。驚くべきシーンだった。中継していたブラジルのすべての解説者も、記者たちも、PKではないと主張した。