ペップがCL制覇へ正念場。トッテナムとの第2戦はシティが有利か

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督が、現在のフットボール界屈指の名将であることは論をまたない。監督就任2年目の昨季はプレミアリーグを独走し、勝ち点や得点、勝利数など多くの記録を塗り替え、今季もシティはリーグ連覇へ向けて好位置につけている。

 4月16日時点で首位リバプールを勝ち点2差で追う2位ながら、消化試合はひとつ少なく、得失点差はリバプールの +57 をしのぐ +64。敵将のユルゲン・クロップに「世界一のチームに見える」と言わしめたシティは、現在48歳のスペイン人指揮官が築き上げた最新作だ。

 アブダビの王族がシティを買収してから10年が過ぎ、新たなサイクルの始まりとなった今季は、クラブ史上初の欧州制覇が期待されている。

シティでのCL初制覇を目指すグアルディオラ監督シティでのCL初制覇を目指すグアルディオラ監督 しかし近年のチャンピオンズリーグ(CL)では、グアルディオラ監督のチームの成績は芳しくない。2008-09シーズンから4年間率いたバルセロナでは優勝、4強、優勝、4強と続き、2013-14シーズンから3年間指揮したバイエルン・ミュンヘンでは3シーズン連続で4強入り。だがシティでの過去2シーズンは、16強と8強どまりに終わっている。

 現地時間4月9日に行なわれたCL準々決勝第1戦でも、敵地でトッテナム・ホットスパーに0-1と敗れた。これでグアルディオラ監督は、CL準々決勝以降のアウェー戦で10試合連続未勝利に。記憶に新しいのは昨シーズンのこのステージだ。一年前はリバプールにアンフィールドで0-3と敗れ、マンチェスターで行なわれた第2戦でも1-2と連敗している。

 敵地での第1戦に慎重な姿勢で臨むのは、多くの監督に共通することかもしれないが、先週のトッテナム・ホットスパー・スタジアムでの一戦には、ケガが癒えたはずのケビン・デ・ブライネを試合終了間近までベンチに座らせたままだった。ベルナルド・シウバを負傷で欠いたうえ、創造性の源であるデ・ブライネを起用しなかったチームは、59%のポゼッション率(UEFA公式)を記録しながら、枠内シュートは2本のみ。

 序盤のPKをセルヒオ・アグエロが決めていれば、試合展開は違ったかもしれない。それでも、CLを初開催するロンドンの新スタジアムのピッチに立ったシティの面々は、普段よりもどこか硬く見えた。それはCL終盤戦にある独特の重圧によるものなのか。

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