闘将シメオネ、神通力の限界か。A・マドリードが岐路に立っている (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

「就任以来、最悪のときでは?」

「ノー。それはミラノでCL決勝に敗れたとき(2016年、レアル・マドリードにPK戦の末に敗れた)だ」

 シメオネらしい強気な返答だった。そしてその後、第29節のアラベス戦は敵地で0-4の勝利を収め、第30節もジローナを2-0で手堅く下している。地力の強さを示したことになるが......。

 今シーズン、シメオネ監督はチーム再建に取り組み、大量補強を敢行している。MFロドリ、トマ・ルマール、ジェルソン・マルチンス(現在はモナコにレンタル中)、FWニコラ・カリニッチ、DFサンティアゴ・アリアスなど、スペイン、フランス、ポルトガル、クロアチア、コロンビアのW杯代表選手を次々に獲得。なんと1億1500万ユーロ(約145億円)もの大金を投じた。

 しかし残念ながら、現状はMFロドリしか確かな戦力になっていない。

「シメオネは守備力を高め、強いモチベーションで挑むチームを作ったが、もはやサイクルは終わったのではないか」

 そんな批判的な意見が目立ちつつある。

 シメオネが一時代を築いたのは間違いない。堅牢な守備と凄みのあるカウンターは、ひとつのプレーモデルになった。DFディエゴ・ゴディン、ホセ・ヒメネス、フィリペ・ルイス、ファンフラン、MFコケ、サウール・ニゲス、FWジエゴ・コスタは、その中核をなしてきた。

 しかし、メンバーが更新されていない。

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