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南米サッカーの神髄!スーペル・クラシコの魅力を達人たちが語り合う (3ページ目)

  • photo by Nakashima Daisuke

中山 ガジャルドはモナコやパリ・サンジェルマンで活躍した元アルゼンチン代表ミッドフィルダーですね。フランスではとても有名な選手で、モナコ時代にはクロード・ピュエル監督の下、中心選手としてリーグ優勝を果たしています。代表ではアリエル・オルテガという10番がいたので目立った活躍はできずに終わりましたが、小さいながらもセンスのあるプレーメーカーだったという印象があります。

 そうです。それもあってヨーロッパ的な指導をする監督で、もちろん彼もインテンシティーの高いサッカーをするんですが、どちらかと言うとサッカーもかなり戦術的です。4-3-3でアルゼンチン風のバルセロナのようなサッカーをするボカに対して、ガジャルドは4-1-4-1、4-2-3-1と、いろいろシステムを変化させて、ときには5バックにして戦うこともできる。そういった戦術的なサッカーに対応できる選手を集めていますし、ボカのバロスケロットと比べると圧倒的に引き出しが多く、それが両チームの差につながっているのではないでしょうか。

倉敷 どうやってその差を詰めるか、情熱が重要な鍵ですね。コパ・リベルタドーレスのレギュレーションにアウェーゴールのルールはないので、第2戦に勝った方が優勝というリーベルホームでの一発勝負でした。

 ですから、2-2で終わった第1戦で、追いつかれたボカの選手たちががっかりした表情でピッチを去ろうとしているとき、途中出場をしていたテベスが「お前ら、下を見ているんじゃない! 顔を上げろ!」と怒鳴っていたんです。次の試合で勝てばいいわけですから、がっかりしている場合じゃないということです。

 すると、その映像がテレビで流れた後、ボカのサポーターの間でもかなり話題になって、3日くらい経過したときにサポーターたちが行動を起こしました。リベルタドーレスではアウェーのサポーターはスタジアムに入場することができないので、サポーターたちがクラブに「練習を公開してほしい」と嘆願し、クラブもそれを認めたのです。

 ボンボネーラは4万人を収容するのですが、公開練習で集まったサポーターはなんと6万人! 2万人がスタジアムに入れなくて暴徒化してしまったのですが、あの公開練習の雰囲気は、まさに南米ならでは。クラブもしっかり警備を敷いていたのですが、まさか平日の日中にあれほどのサポーターが集まるとは思っていなかったのではないでしょうか(笑)。その公開練習の模様を、日本のテレビで流してほしかったですね。試合を見るより、その練習の様子を見た方が南米サッカーの神髄みたいなものが見られると思います。

倉敷 暴れたことは正当化できませんが、これって欧州がなくしてしまったフットボールの持つ禁断の情熱ですね。希少価値があります。豊かになって久しい国のメディアはもうそこを面白がれないのでしょう。本質を知りたかったら飛び込んで、触って、話して、食べてみることが必要なんですけどね。

 さて注目の第2戦ですが、なかなか開催されませんでした。リーベルのホーム、モニュメンタル(エスタディオ・モニュメンタル・アントニオ・ベスプチオ・リベルティ)で11月24日に開催される予定だった試合は、スタジアムに入場するボカの選手を乗せたチームバスが一部の凶悪なリーベルサポーターに襲撃され、投石でバスのガラス窓が割られ、ボカの選手が負傷。唐辛子スプレーの影響で体調を崩した選手もいてこれが最初の延期になりました。

 コンメボル(南米サッカー連盟)はそれでも当日に開催したかったようですが、モニュメンタルに観客を入れた状況で6時間延期した挙句、翌日に延期。そしてさらに延期。いつどこで第2戦が行なわれるのかわからない状況になりました。詳細は次回、詳しく伝えることにして、先に第2戦の結果の話をします。亘さん、12月9日にスペインのマドリードで行なわれたゲームの率直な印象を聞かせて下さい。延長戦で3−1。リーベルが優勝しました。

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