2018.12.19

南米サッカーの神髄!スーペル・クラシコの魅力を達人たちが語り合う

  • photo by Nakashima Daisuke

蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.50

 サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。この企画では、経験豊富なサッカー通の達人3人が語り合います。さらに今回はゲストに南米サッカーの達人、亘崇詞(岡山湯郷ベル監督)が参戦!連載一覧はこちら>>

――この鼎談は欧州サッカーをテーマに行なっていますが、今回は南米サッカーに詳しい亘崇嗣さんをゲストに迎え、先日行なわれた南米クラブチャンピオン決定戦、コパ・リベルタドーレス決勝について語っていただきたいと思います。アルゼンチンの名門同士、リーベル・プレートとボカ・ジュニオルスの間で行なわれたこの決勝戦は、サポーターの暴動もあって第2戦が延期になったうえ、結局スペインの首都マドリードで行なわれたということで日本でも話題になりました。まずはその試合を振り返っていただけますでしょうか?

スーペル・クラシコに勝利したのはリーベル・プレートだった
倉敷
 今回のコパ・リベルタドーレス決勝はリーベルとボカによるダービーマッチでしたが、同国同士はぶつからないというルールがあった時代を経て、ついに実現してしまったこのファイナルを、現役時代にボカでテベスともプレーした経験のある亘さんはどのように見ていましたか?

 まず準決勝ではボカがパルメイラス(ブラジル)と、リーベルはグレミオ(ブラジル)とそれぞれ対戦したわけですが、その段階ではリーベルは負けるかもしれないと言われていました。ただ、実はボカの方が監督のギジェルモ・バロスケロットを含めて経験値が少ないという部分があって、そこを不安視する声もありましたね。一方のリーベルのマルセロ・ガジャルド監督は、2015年にリベルタドーレスで優勝したことがあります。僕はボカでプレーしたこともありますし、友人もたくさんいるのでボカに勝ってほしいと思っていましたが、客観的に見れば実力的にも決勝戦はリーベル優位だと見ていました。

倉敷 今回のベスト8はアルゼンチンとブラジル勢を除けば、あとはチリのコロコロがいるだけでした。南米のクラブレベルはアルゼンチンとブラジルが頭一つ抜けていると見ていいですか?

 そうだと思います。とくに近年のブラジルのクラブはスポンサー収入によって高額なサラリーの選手を集めていて、たとえばヨーロッパで活躍した選手を南米に連れ戻して強化する傾向があります。アルゼンチンでもその傾向はゼロではないですが、たとえばリーベルのレオナルド・ポンシオなんかはスペインのサラゴサで活躍してから戻ってきたり、ボカのカルロス・テベスも中国スーパーリーグでのプレーを経てボカに復帰したりしています。ただし、ブラジルのように高額な報酬をもらっているわけではなく、給料なしでプレーしている選手もいたりして、いわゆる”無償の愛”みたいなところがあります。

 いずれにしても、国内で育った若手にヨーロッパを経験したベテランをうまくミックスしているのがブラジルとアルゼンチンのクラブであり、それによって他の南米諸国のクラブとの差になっていることは間違いないと思います。